石垣島ではハブが減っている。

   



 石垣島に来て一度もハブを見たことがない。夜行性らしいので、夜はすぐ眠くなるので、外に出ることがないことが一番の理由だと思うが。ハブが減っているのではないかと考えている。農家の人に会う都度、ハブを最近見かけたかと聞いていてみているが、最近見たという人にひとりだけであった。

 その方が言われるにはそれは小さなヘビだったそうだ。大きいものは最近見たことがないと言うことだった。減っているのではないかとやはり言われていた。具体性もあり、水のあるところに居ることが多いと、ヘビの居るところもよくご存じだった。ヘビを見るとハブを見たという人も居る。

  石垣島に居るハブはサキシマハブである。大きさはハブとしては小さいもので120センチまでとある。噛まれたとしても毒性は弱く,血清を打てないとしても死ぬことは滅多にないと言われている。台湾ハブも居るとか、本ハブも居るとか言われるが、私が調べた範囲では居ないようだ。

 それでも噛まれる人が居ないわけではなく、ピーク時には、年間500名を超えていた沖縄県のハブ類咬症者数だったのだが、ここ10年ぐらいは70名前後で推移している。2018年は初めて50名を下回った。このところ50名前後。石垣市では2019年は3人が噛まれたとある。 2000年以降、ハブの咬傷被害により亡くなる方はいない。

 石垣市観光協会のホームページの注意喚起では、沖縄県には猛毒を有するハブが生息し、年間100人前後のハブ咬症患者が発生しております。 と言うようなことが書かれているが、それは大昔の話のはずだ。2019年は石垣市では3人だけだったを強調して欲しい。2019年の話だから、コロナの影響ではない。

 何故多くの人がハブに注意しろと言うのかと言えば、幽霊見たりと枯れ尾花で、不安から何でも長いものであればハブと言うことになる。その昔親戚の誰それが噛まれたという話しがいつまでも語られている。ともかくいつも気を付けて居そうな所を探して見ているが、まだ見付けたことはない。もちろんハブ以外のヘビは見ている。

 ハブを石垣島で探し歩いた人の話があるが、2度訪れて撮影できなかったとある。2015年の話である。その時より孔雀はさらに増えているから、今はもっとハブ少なくなっていると見ている。実際に見たことがあると言う人の話は夜車のライトで見えたという話が多いが、それで普通の人に判断が付くとは思えない。

 日本最大のヘビ、サキシマスジオも石垣島に居る。そのほか18種のヘビが居るらしい。だから案外に他のヘビをみて、ハブだと思う場合も結構あると思われる。夜車のライトで見たという話は,可能性として18分の1が違うと言うことになる。

 石垣島には様々なヘビが居るので、それがハブと間違われる可能性はかなりある。しかし、ハブ以外のヘビも孔雀には食べられていることだろう。石垣島で一年に何人ハブに噛まれると思いますかと聞いたら、なんと100人ぐらいだろうという感想があった。こういう風に不安でイメージだけが膨れているのだ。

 天然記念物のは虫類と言うことであれば、セマウルハコガメは見た。30センチにも成ると言うが15センチぐらいのものを三回は見た。こちらは甲羅があるから、孔雀にやられないのだろう。のんびり歩いているのでゆっくり確認が出来る。

 そして入って欲しくない場所にはハブ注意という看板が一番有効とされている。ハブ注意の看板はハブの数どころでなく見かける。とって貰いたくない植物、とって貰いたくない昆虫の居るところ、入って貰いたくない場所にはハブ生息場所の看板が有効と言われる。

 ハブは減っていると考えていいのではないか。理由はキジと孔雀の増加にあると言う話である。同感である。鶏もそうだが、キジ科の鳥類はは虫類を非常に好む。ヘビは鶏の好物だった。良くヘビをなたで刻んで鶏に食べさせていたが、好んで食べた。

 余りヘビが好きなので、見ると捕まえてエサにしていたら、鶏小屋の周辺では全くヘビを見なくなった。それで困ったのがネズミの増加だった。それ以来絶対にヘビを殺さないことにした。ヘビはお米の国ではやはり神様だったのだ。

 ヘビはすぐ人に慣れ逃げなくなった。そのうち2メートルを超えるアオダイショウが鶏小屋に住み着いた。意外に成長の早いものだ。エサが多ければ数年で2メートルを超える。卵を狙うので、エサの卵を別に置いてやった。ネズミが来ない方が良いからである。

 孔雀の大きさになれば、先島ハブは丁度良いエサになるはずだ。孔雀は動作が鈍いから,ヘビを捕まえるのは下手かもしれないが、それでも人よりも早いのだから捕まえられないはずがない。噛まれてもたぶん毒で死ぬことはない。山北にいた頃犬がマムシに噛まれたことがあるが、脚を腫らしていたが、一晩で直った経験がある。

 高麗キジとインド孔雀が良い役割も案外にしていると言うことなのかもしれない。マングースは大失敗であったが、ハイムルブシから逃げ出した孔雀は失敗転じてハブ撃退の成功になったのかもしれない。生物多様性の維持という意味では問題の多い特定外来生物ではあるが、さすがに毒蛇は居ない方がありがたい、と考える普通の人が多いに違いない。

 マムシも希少生物になると言われているが、居なくなっても少しも困らない。そうコロナウイルスも病原菌もいなくなっても少しも困らない。シュバイツアー博士は病原菌を殺すのも罪だと悩んだそうだ。小学生の時に教科書でその話を読んで私も悩んだ。環境原理主義者はどこで線を引くのだろうか。

 生き物の中には居ない方がいいようなものも居る。私はハブは居ない方が良いと思うがどうだろうか。それでは狼が居なく成って良かったかと言えば、それは良くない悲しい事件である。狼は大神である。信仰の対象でもあったのだ。日本の野生動物の頂点に君臨する動物であった。日本人の暮らしは狼と共存していたのだ。ヘビも神様ではあるが、毒蛇となると別だ。

 こうなると孔雀もそう目の敵にするほどのこともないように思えてきた。ハブを食べる話を聞くまで、孔雀を捕まえて食べることばかり考えていたのだが、今はそんなことは全くない。どうだろうか、特定外来生物のオオヒキガエルも食べていてくれないだろうか。

 西表島は人口が石垣島よりはるかに少ないのに、さすがにハブの被害は多い。ハブは減っていないようだ。西表には孔雀が居ない。西表は世界自然遺産の島である。確かに孔雀などとんでもない話だ。

 石垣島でも孔雀がいいとは言えない。田んぼで稲を食べてしまうそうだ。駆除も続けられている。しかしハブも駆除を続けてきたのだが、孔雀が居ない頃はハブ被害は減らなかった。孔雀が増えてハブが減ったと言うことも着目して良いのかもしれない。

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