国民保護という観点

   


 石垣小学校の子供たちが田植えをした田んぼ。

 石垣島に暮らし始めて、国民保護という問題を考えるようになった。国境の島の安全保障である。誰かが武力攻撃をしてきたときに、国民をどう保護するかである。中国が石垣島に武力攻撃を始めたときに、石垣の住民は避難できるのかと言うことである。

 避難には18日間かかると言うことが計算上では出ていた。これも様々な予測値があるのだろう。私なりに計算してみて、最短で2週間はかかるという計算になった。この場合、宮古島など周辺の島への避難と言うことも入れている。

 現状では中国が攻撃してくれば、中国に占領されるだろうと言うことが想定されている。中国が石垣島を占領する気で、作戦を開始したときには日本の自衛隊の兵力と装備では石垣島は占拠されるだろうと言うことになっている。日中の軍事力の差を考えれば、当然のことになる。

 そこで、今の自衛隊の防衛計画では、石垣島をどのような方法で奪還する事ができるかの戦略を研究している。中国が沖縄本島まで占領すると言うことはなかなか想定しにくいことに成る。面積も広いし、人口も大きい。そこを一気に占領する為には時間がかかる。その間に、日本全体からの反撃と、アメリカからの中国本土への攻撃が予測される。

 そのために沖縄の離島への攻撃よりも、沖縄本島への攻撃はよほどのことがない限り、難易度が一気に上がると見られる。石垣島の面積と、5万人の人口であれば、中国が占領する気で攻撃をした場合、1週間程度で決着が付くのだろう。

 その計算から行くと、中国の石垣島への攻撃は尖閣諸島を中国が占領すると言うことよりもよほどハードルが上がる。現実の武力攻撃はこうした、軍事的な計算が充分に計算され実行されるのだと思う。石垣島に暮らしていて、中国の軍事攻撃は自分なりに考えている。

 その結果、中国の軍事攻撃があるとすればまず尖閣諸島の攻撃であろうと誰しも考えだろう。しかし、そうであるとすれば、何故、尖閣諸島を中国が領有権を窺っている今、日本政府は真剣に中国との外交交渉をしないのであろうか。

 その理由は後で書きたいと思うが、その前にさらに深刻なことは石垣市民の保護に関して、国や、石垣市長が全く考えていないと言うことである。石垣市民は中国軍の攻撃が始まったときには一人一人が自ら逃げるほかない。

 現在石垣にある旅客船をすべてを動員して、宮古島など近隣の島まで避難するだろう。これでは一日数千人が限度である。さらに避難に本土から急いで旅客船を集めて行うとすれば、攻撃が始まってから、1週間は開始までかかってしまうことになる。

 飛行機で脱出すると言うことが現実的であるが、これには一日やはり、数千人が限界である。こうして計算された結果、石垣市民がすべて脱出が出来るためには18日かかるという計算がでていた。確かにかなりの日数がかかることは分かる。

 この間中国軍の攻撃が行われているのだ。そうであれば、18日という計画も机上の計算に過ぎず、現実には市民は見捨てられざる得ないと言うことが本当のところではないのだろうか。

 1週間で占領されてしまうと言うことが想定されている以上、半分以上の石垣市民は見捨てるというのが、自衛隊の戦略である。つまり、自衛隊には石垣島を守る能力もないし、石垣島の市民が逃げることも無理というのが現状である。

 政府は石垣島に自衛隊基地を作ると主張しているが、これは中国に向けて発射できる弾道ミサイル基地である。石垣島を守るための基地を作ろうと言うことではない。むしろ中国の攻撃を誘発するであろう基地を作ろうとしている。アメリカ軍の要請で、中国に向けて喉元にミサイルを突きつける作戦である。

 当然中国ももし、日本を攻撃する際にはこのミサイル基地に先制攻撃を仕掛けると言うことになるだろう。今日本の自衛隊の主張の裏返しである。ミサイル攻撃を仕掛けると見えたらば、先制攻撃する権利があると言うことだ。

 この中国に向けたミサイル基地は、どのような角度から考えても、石垣市民を守るための物ではない。アメリカを守るものであり、日本本土を守るためのものである。東京で暮らしている、政治家たちが、安全の為に石垣島に先制攻撃のためのミサイル基地を作れという主張は分からないではない。

 許されることではないが、我が身がかわいい自衛隊の幹部や、政治家たちは日本を守るためと称して、石垣島を防人の島にしたいと考えている。石原慎太郎氏や桜井氏などはっきりと、防人の必要性を発言している。

 そうなると、実に不思議な発言をしているのが、石垣市長の中山氏である。彼は何故、自衛隊基地を誘致したいのであろうか。どの角度化から考えても、石垣市民の安全を守る基地ではない。中山市長の公表されている自衛隊誘致の理由をすべて読んでみたつもりだが、彼はどこにも石垣市民を守るためとは発言していない。

 つまり、防人を志願しているのだ。日
本を守るためには石垣島を防人の島に売り渡した張本人である。末代までこのことは語り継がれる石垣島の恥である。もしいくらかでも石垣市民を保護するつもりがあるのであれば、石垣島市民の保護計画を市長として示さなければならない。

 そんなことは出来るわけもない。出来ないから、説明もしない。国が決めたことだから、従う。国の専権事項には逆らえない。3分の一以上の市民が要求した自衛隊是非の住民投票すら拒否している。こんな市民の安全を軽視した市長はあり得ない。

 こうした日本の先島である石垣島尖閣諸島には軍事的な軋轢が存在する。それが中国との軍事衝突になる一番可能性のある事項だ。それを何故、日本政府は解消しようと出来ないかである。アメリカに中国との交渉を止められているのだ。アメリカは日本を中国の防波堤にしたいのだ。

 日本が再軍備をして、アメリカへの中国の軍事攻撃の時間稼ぎをして欲しいと考えている。そのために沖縄の米軍基地は存在する。日米防衛協力は対中国への軍事同盟である。そのためには日本がアメリカを攻撃をする武力は持って欲しくないが、中国を攻撃できる中距離ミサイルは配備して貰いたいのだ。

 それが奄美から琉球列島に連なる、ミサイル基地である。これは当事者たる住民には極めて危険な構想になるが、アメリカの市民にとっては、太平洋の向こうの安全な作戦である。日本政府は沖縄を犠牲にして、アメリカに防衛の肩代わりをして貰うと言うことであろう。

 アメリカ軍の基地負担の軽減が言われ、表面的には米軍基地を縮小しなければならないだろう。その分を自衛隊基地の共用という形で代替して行く計画である。そのためには中国との緊張関係は強め続けなくてはならない。尖閣に中国艦船が行き来することは、すばらしい又と無い状況なのだ。

 だから外交交渉で解決するなど、まったく考えても居ない。強く抗議をしたなどと、どうでも言い説明だけである。中国の軍隊のイライラ度が高まり、占領してくれば、またとない条件がそろうと言うことなのだ。私にはそうとしか思えないことだが。腹が立ち長くなったどうすれば良いのかは又改めて。

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