農水大臣が大臣室で賄賂を受け取る。
鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表(87)が、自民党衆院議員だった吉川貴盛・元農林水産相(70)=北海道2区、議員辞職=に6年間で計1800万円を渡した疑いがある問題で、前代表が東京地検特捜部の任意聴取に対し、西川公也(こうや)・元農水相(78)にも2014~20年の7年間で1500万円超を渡したと供述していることがわかった。自民党の「農水族」議員に長年現金を提供し、関係を深めていたとみられる。
汚職が長年慣習化してきた理由は、養鶏大手は鶏卵価格を維持するために農水省の補助金を使っていた。「成鶏更新・空舎延長事業」と「鶏卵価格差補?事業」の2つからなる「鶏卵生産者経営安定対策事業」には、2018年度の農林水産省の予算額は48億6200万円にのぼる。事業実施主体は一般社団法人 日本養鶏協会だった。
鶏卵生産者経営安定対策事業
【5,189(5,189)百万円】
対策のポイント
鶏卵価格が低落した場合に価格差補?を行うとともに、更に低落した
場合、成鶏の更新に当たって長期の空舎期間を設けて需給改善を図る取
組を支援し、採卵養鶏経営と鶏卵価格の安定を図ります。と農水省の説明にはある。
【5,189(5,189)百万円】
対策のポイント
鶏卵価格が低落した場合に価格差補?を行うとともに、更に低落した
場合、成鶏の更新に当たって長期の空舎期間を設けて需給改善を図る取
組を支援し、採卵養鶏経営と鶏卵価格の安定を図ります。と農水省の説明にはある。
卵は安すぎるのである。つまり、余りに安いので日本にまともな卵は無いのだ。消費者は安ければ良いと思いがちだが、必要以上に安いものにはどこか問題が内在している。ところが高い卵なら良いかと思うと、そうでもないのが現状であるから困る。
一言で言えば、動物虐待の最たるものが大手の企業養鶏である。新自由主義経済教の国際競争力の優等生が、養鶏業なのだ。競争に勝つためには手段を選ばない大手企業が勝つ現実。そしてこれを有り難い優等生と黙認しているのが、日本の消費者である。
今、鳥インフルエンザで何万羽もの鶏が淘汰され、養鶏業者は困っているのだろうか。インフルエンザがはやらないでも卵の価格が下がると、鶏の淘汰を行って、一定価格に卵価格を維持している。もしかしたら、インフルエンザが流行して有り難いと考える業者もいるのではないか。
私のやっていた自然養鶏では卵一個の原価計算を、細かくやってみたことがある。一個230円になった。まともな自然養鶏には3つの基本がある。1,緑豊かな自然環境への放し飼い。2,自家鶏種の孵化からの養鶏。3.安全な醗酵飼料。
本来病気を生み出さない養鶏を考えたときには、この3つを守るような養鶏業になるべきなのだが、そうした養鶏場は日本全国にただの一つも無い。中国にはあった。230円以上の価格で卵は売らないと、まともな養鶏は業としてはなり立たないのである。しかし、現実にはその10分の1以下の価格で卵は売られている。
私は直接は50円。東京では100円で売っていた。食べる卵は赤字の販売であった。230円の卵を平気で食べるような金持ちのために、養鶏をしたくなかったからである。わたし自身が買えないような価格の養鶏は出来なかったのだ。笹鶏や日本系の種卵やひよこも販売もしていたので、総合的には何とかやれていた。
日本の卵が安い理由は簡単なことで、生き物とは言えないような動物虐待の環境で鶏が飼われているからである。本来禁止すべきバタリーケージという飼い方である。又高いから良い卵とも言えないところが良くある。消費者が高ければ良いものだと思い込んでくれるので、その心理を悪用しているにすぎない卵だ。
良い卵は簡単なことだ。昔の農家のように自分で飼えば必ず良い卵になる。出来れば、1,緑豊かな自然環境への放し飼い。2,自家鶏種の孵化からの養鶏。3.安全な醗酵飼料。を守って飼育して貰いたい。
競争主義のコスト削減が鶏の生き物としての尊厳を無視し、劣悪な環境を強いているのが現状である。安すぎる卵の赤字補てんをおこない。又価格維持のためにまだ産む鶏を調整淘汰すると、生産者へ国からの補助金が交付される。このように、物価の優等生と言われる卵に税金が投じられているのだ。
こうした余りに劣悪な鶏の飼い方に対して、世界では基準作りが進んでいる。ところがこの基準に対してバタリーケージを良い飼い方だと主張しているのが日本養鶏協会である。その声を賄賂を貰い代弁しているのが、農水相である。
「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に関する国際機関の基準づくりが進んでいた。秋田氏は同年11月12日、業界団体の幹部として大臣室で吉川氏や、農相経験者の西川公也内閣官房参与(当時)らと面会し、この国際基準の内容に政府として反対するよう求める要望書を提出するなどしている。
日本も加盟するOIE(世界動物保健機関)は、2017年から採卵鶏のアニマルウェルフェア基準「アニマルウェルフェアと採卵鶏生産システム」の策定を進めており、これまで各国と内容についてすり合わせを行ってきた。採卵鶏だけでなく、これまでもOIEは豚や牛のアニマルウェルフェア基準を作っている。だが残念ながらそのたびに日本はアニマルウェルフェアのレベルを下げるようにOIEに意見(コメント)を提出してきた。
そして「生食文化だからケージでないとだめ」「高温多湿の日本はケージでないとだめ」「平飼いは死亡が増える」「ケージの場合、ケージを掴むことで止り木の役割を果たしている」などと発言しバタリーケージを支持した。
この発言は真っ赤な嘘だ。自然養鶏で生卵を食べても問題はない。放し飼いこそ健康な鶏になる。弱い鶏が死ぬことは自然淘汰であり、強い鶏種が作られて行くことにも成る。止まり木が無いような小屋がまともなわけが無いだろう。
ところがこのメチャクチャな主張が通ろうとしている。そのために、OIEと言う養鶏の世界基準を策定中の組織に対して、農水省に強くケージ飼いを問題なしと主張して貰うために、養鶏業界から賄賂が出ていたと考えて、間違いないだろう。
そして残念なことにというか、その圧力は成功をしたのだ。今年基準が不十分な形でまとめられることになっている。このひどい状況を変えられるのは消費者である。まともな卵を、まともな価格で買う消費者がいれば、たちどころに状況は変わる。