宮古島市で基地を誘致した市長が落選

   



 宮古島市の市長選挙は17日投票が行われ、玉城知事を支える「オール沖縄」が支援した新人の座喜味氏が、自民・公明両党の推薦を受けた現職を破って初めての当選を果たしました。今回の市長選挙では、自民・公明両党が下地氏を推薦したのに対し、立憲民主党や共産党などは玉城知事を支える「オール沖縄」が支援する元自民党県議会議員の座喜味氏を推薦する構図となりました。ーーーNHKニュース

 宮古島で自衛隊誘致の市長が落選した。常々下地元宮古島市長の民主主義を無視した市政にはおかしいと思っていた。自衛隊基地が出来て、実際の運用が始まると弾薬庫問題など、事前の説明にはなかったことが頻繁に起きていたい。辺野古の県民投票も反対をしていた。
  それでも下地元市長は選挙で支持されていると、強引な市政運営を繰り返していた。さすがに宮古島市民も自衛隊を支持する元自民党の座喜味氏あっても、宮古市民も民主主義的な議会運営は願っているということだろう。

 日中関係、そしてその背景にある日米安全保障条約は転換点にある。従来の日本の防衛政策は根本から、発想の変更を迫られている状況である。ところが、政府与党の自民党の外交部会の部会長は元自衛官の武力主義者である。

 外交に対して軍事力強化以外にないと考えているのが自民党なのだ。平和外交の意味など全く頓着がない。敵基地先制ミサイル攻撃を主張するような人間が、自民党の外交方針をリードするようでは危険極まりないことになる。

 外交は平和主義のものがやるべきことだ。どうやって武力衝突を避けるかが外交である。先ずは仲良くなることがすべてに優先する。お隣とは朝起きたら挨拶をするというのはごく当たり前の考えだろう。それが先ずは無難に暮らして行く当たり前の社会の在り方だと思う。

 お隣の親父が挨拶もしないので、忌々しいから自分もしないというのでは上手くゆく関係も悪くなるばかりである。ましてお隣とは地境でもめているのだ。譲れば沽券に関わると、突っ張り合っている。小さな地境のことなど、別に互いの今の暮らしに影響がないことは分かっていることではないか。

 しかも、沖縄はアメリカから返還されて50年経っても、いまだ占領地である。日米地位協定という世界で類を見ない理不尽な条約が、未だにまかり通っているのだ。政府は不平等条約に対してもの申すことすら控えている状態である。日米隷属関係である。

 こんな状況で沖縄の基地負担の軽減など空言を言い続ける。もし基地負担軽減というのであるなら、まずアメリカに対して、米軍兵の日本での犯罪の裁判権が日本にあることを、法治国家として主張しなければならない。これこそ国際法上当たり前のことだ。

 こうした隷属関係のままに、アメリカの要望を忖度して、宮古島の自衛隊基地も、石垣島に建設中の自衛隊基地も設置される。日米安全保障条約に基づき、米軍の自由使用が見こまれるのだ。当然、基地が出来たことで住民の危険は大きく増している。基地が出来たことで、尖閣諸島への中国戦艦の侵入が頻繁に起きている。

 もし中国が尖閣諸島を占拠する動きがあるとして、中国軍に対して、石垣島から先制ミサイル攻撃をしたらどういうことが起こるか。当然石垣島は中国のミサイルで壊滅状態になるだろう。それを見込んでいるのが、自衛隊の先島諸島の防衛計画なのだ。

 住民の避難計画は全く立てられていない。まさに石垣島の住民というものは防衛計画の中では、防人であり、人間の盾である。自分でどうにかするしかないのが、石垣島の住民である。戦闘が起きている際に軍用の基材で住民の避難は出来ない。もし避難をすれば、それは攻撃対象になっても仕方がないというのが、国際法である。

 国民保護という観点で石垣島の住民の避難は現状全く考えられていない。石垣島の住民は見殺しにされる以外にないのだ。現状では民間の船の航路はない。民間の飛行機での避難以外にないということになる。

 中国が石垣島に武力攻撃を始めたときに、石垣の住民は避難できるのかと言うことである。避難には一日3000人で、18日間かかると言うことが計算上では出ている。こうしたことを踏まえて、自衛隊は中国が攻撃してくれば、一度中国が石垣島を占領するだろうと言うことになる。自衛隊はむしろ石垣島をどのような方法で奪還するかという戦略を研究している。

 この状況で、石垣島市長の中山氏は自衛隊の誘致を先頭に立って行っている。今や売島奴と言えるのではないか。宮古島元市長の下地氏も同様である。住民投票など要らない。選挙で結果は明らかだとうそぶいてきた。

 この自衛隊基地の問題は、保守も革新もない。島をどれだけ愛しているかだけである。島を日本国のために、防人の島として差し出して良いのかという問題である。自衛隊基地を誘致するということは島を売り渡したということ同じなのである。

 日中関係は大きく変わり始めている。中山市長が自衛隊を誘致したときには、日本の経済力が中国を上回っていた。たぶん中山市長は先見の明がなく、中国に負けるはずがないと考えていたのだろう。ところが、日本の経済は、中国と軍事的に対抗できるようなの力量ではなくなってしまった。

 アメリカの経済的後退も見え始めている。あと、6,7年で中国の経済力はアメリカを追い抜くと言われている。コロナでさらに早まるのかもしれない。この状況では敵基地先制攻撃のミサイル基地がどれほど危険なものになっているかは、日々明らかなり始めている。理解できないのは精神主義の右翼だけだ。

 あらためて、国民保護という観点から、石垣島の住民をどのように考えるべきかを議論すべきだ。日本の防衛計画の中では、基地の島の住民の存在が完全に欠落しているという現実を考え直さなければならない。

 今ならまだ引き返せる。先ずは住民投票をすることだ。中山市長が島を愛する人であるなら、すぐにでも住民投票を行うべきだ。そしてその結果に従い、国と交渉をすべきだ。いまなら、まだ間に合う。中山市長は売島奴になるか、石垣島の危機を救う人になるかの最後の場面ではないだろうか。


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