新しいく田んぼを作る
柿の下田んぼは2反弱ぐらいのみかんの耕作放棄地であった。たぶんここも60年前くらいには田んぼであった時代があった。そしてみかんに転換した。それが放置栽培になって、その後放棄されていた。理由はこの畑には歩いてしか入れないからである。
道路がないのであれば、田んぼは難しかったのだろう。トラックターも田植え機も入れないのでは、今の農業としては田んぼは無理だろう。しかしみかんだって道路がないのだから、経営としては大変だったに違いない。それだから最初に放棄されてしまったのだろう。
そこをなんとか田んぼに戻そうと考えて、お借りした。5枚に分かれている。田んぼにするのは1反5畝である。石垣はだいぶ壊れていた。土地もかなり傾斜をしていた。田んぼに戻すには一苦労する場所のようだ。
トンボで田んぼを平らにしているところだ。みんなが手伝ってくれて、作業が進んでいる。この田んぼで2畝60坪ぐらいである。これが小さな田んぼイネ作りでのモデル的な大きさになる。すべては機械を使わないで手作業でやろうと思えば出来る大きさ。
奥に川がある。右側には田んぼがある。この降りてゆく道も新しく作った道である。大変な作業だったと思う。この作業には参加できなかった。一枚上の田んぼは水を入れただけで水はすぐにたまった。これは予想外のことだった。
60年前のこととは言え、一度田んぼだったという事はそれより前の300年間田んぼであったわけだ。土はそう簡単に移動はしない。田んぼであったところを田んぼに戻すのはまだ楽である。これが一度も田んぼではなかったとこの場合、代掻きをしなければ水は溜まらない。
右側の水路から臨時に塩ビ管を配管してある。ここだけ独立して水を入れるときの為だ。代掻きをするときには水が沢山いるので、配管を加えた。最終的には水は4枚を順繰りに巡るようになればと考えている。そして高さ順にA→B→C→Ⅾと水が回り、Ⅾからの排水はほとんどないというのが良いと考えている。
水を入れたのが、21日ごごである。午前中に水路掃除をして、川から水が入るように整備をした。午後水を入れると意外に水持ちが良い。トラックターで何度もアラオコシをしてあったので、水は簡単にたまったようだ。
しかし、当然というか予想した通り、畔からは水漏れが起きた。それを塞いで歩いて、一日目は終わった。Cまで水が行ったという状態だった。Ⅽは他からも水を入れた。2方向から水が入るので水がたまった。それをトンボで均しているのが最初の写真である。
欠ノ下ではなく、柿の下田んぼだそうだ。柿の木の下の田んぼ。Aに水が満杯になったところだ。その下がBで奥に少し塩ビ管が見えているのが山側に流れている水路から水を取る塩ビ管だ。水が上手く回るようになったらば、この塩ビ管からの入水はしない方がいいと考えている。
水が来ない場合を考えて、水は十分にある状態でなければ代かきが出来ない。一日目は水がどこまでたまるかを水漏れ箇所を塞ぎながら調整した。こんなに溜まりやすいとは思わなかった。トンボで均した程度で、何と水はⅭまで水がたまった。
下の乾いて見えるのがD田んぼ。これで入水量を減らして、一日目を終わり帰った。翌日6時に行ってみると、なんと水があるのはCだけだった。小さく洩れていた穴が広がってすべて水が流れ出てしまった。早朝2時間かけて穴をふさいだ。
2日目の作業は代掻きである。ところがここでトラブル。トラックターがA田んぼに入った途端にのめり込んで動けなくなった。これには参った。それから、トラクターを上げるのに半日かかる。みかんの根を抜根した穴にはまった。やはりCのように小さな田んぼの手作業には意味がある。
畔の水漏れの直しを進める。これはかなり大変な作業であった。一つ一つ畔をシャベルで穴を掘り、つき棒で固めながら、土を戻した。上手く治ったところもあるが、治らないままの所もある。それでも何とかDまで水が行った。
これが新しい欠ノ下田んぼの全景である。欠ノ下という名前にになったのは欠ノ上の下の田んぼという事である。欠とは崖を意味している。諏訪の原台地から久野川への南斜面にできた集落が欠ノ上という集落である。
夕方23日の作業が終わったところ。いつかこの景色を描いてみたいと思う。絵を描くという事は、草刈りから始まり、田んぼを作るという作業があって絵になるもとが出来るのだと思う。大変な作業ではあったが、実に楽しい作業であった。
この楽しさはやったもの以外味わう事が出来ないものだろう。与えられた楽しさではない。自分が生きるための労働である。自分が食べるものを生み出す田んぼが出来る。自給自足を身をもって知るという事になる。大切な体験というのは人間の生き方にかかわることなのだと思う。田んぼを作るという体験は一度はやってみても良い、貴重なものだとおもう。
今日はいよいよ、柿の下の種まきである。以下根守さんから来た、苗床の配置図である。
(柿の下田んぼ+冨田田んぼ+東田んぼ)
苗床の長さ24m。巾1m。
そのうち14mがはるみ、さとじまんが8.5m、山田錦が1.5m。
苗床の長さ24m。巾1m。
そのうち14mがはるみ、さとじまんが8.5m、山田錦が1.5m。
・はるみ
乾燥量で3kg→川に浸けて4.2kg。
柿の下A,B,D約1.1反用に2.8kg(苗床)、Eに1.4kg(直播き)する。
袋は分けていないので、目分量で2/3を苗床に播く。
・さとじまん
乾燥量1.2kg→川に浸けて1.7kg。
柿の下C2畝と冨田田んぼ4畝の合計6畝分ちょうどあるので、
これを苗床に播く。
・山田錦
乾燥量0.7kg→川に浸けて1.0kg。
東田んぼ1畝分だと乾燥量0.2kgで足りるので、1/3程度を苗床に播く。
★直播部分については、またあとでまとめて書きたいと思う。