のぼたん農園のひこばえ栽培

   


  写真はのぼたん農園一番田んぼの、ひこばえが出穂してきた様子。株は40本立ちになるほど大きく立派に育っている。ひこばえ栽培はやり方によっては、普通の田植え栽培よりも収量を上げられると言うことが証明できたと思う。ひこばえは前のイネ株よりも大きなイネ株になる可能性が高い。
 のぼたん農園の田んぼは、1月6日と13日が田植えだった。種を蒔いたのは12月3日である。そして、1月6日田植えの3番田んぼと4番田んぼでは、3月末が出穂。おおよそ70%の穂が出た日を出穂とする。出穂から45日で稲刈りだとして、5月18日が稲刈りの予定日になる。田んぼでの栽培期間は4ヶ月と12日。

 13日田植えの2番、6番、7番は5月25日が稲刈りの予定になる。この日は沖縄銀行の方達が、稲刈りの応援に来てくれることになっている。このところ、毎日出穂してから、慌ててネット張りをしていた。鴨が食べに来る。何しろこの時期に稲に穂があるのは、間違いなくのぼたん農園だけだろう。島中の鳥にその情報が流れている気がしてきた。
 ネットを張ったまま田んぼに入れるように、高めのネットにしたのだが、単管パイプや25㎜のハウスのパイプが足りないので困った。結局不足した最後の7番田んぼは、低いまま張ることことにせざるえなかった。単管が高くて買えないので、仕方がない。
 4つ角と長い側の中間点の4カ所だけは単管を打たないと風に倒される。これだけは何とか太いものにした。25ミリ管では倒されるのだから、どれだけ風が強いのかと思う。この強風が崎枝の特徴とも言える。風があるから高い湿度でも、稲に病気が出ないとも言える。



 田んぼの上をネットで覆うまでは、風よけに田んぼのまわりにはネットが張ってあったのだ。それが大分風にやられているので、ハウスパイプを打ち直して、単管6カ所をで補強した。そして、パイプの頭をハウスバンドで、マイカー線で、しっかりと結ぶ。そして田んぼの上も、行ったり来たりマイカー線を張る。

 その上に4ミリ角の防鳥ネットの青い強い方を張る。オレンジの方だとすぐ破られるのだ。ここまで徹底しなければ、石垣のどこの田んぼでも穂が出ていないこの時期に稲の収穫をしようと言う、計画は無理なのだ。何しろ野鳥がすさまじいほどの数居る。

 何故、12月始めに種を蒔くことを考えたかと言えば、一つは暑くなる前に稲刈りがしたいという希望がほぼ全員から出た。同時にひこばえは暑いからやりたくないという声も強かった。もしやりたくないと言うことであれば、私がその後を引き継いでやらして貰うつもりでいる。
 正月の早い田植えは、台風が来る前に稲刈りがしたいと言うことでもある。そして、年平均の最低温度状態を見ると、12月の最低気温が13度が数日あるだけだ。これなら、12月でも十分育苗が出来る。小田原の5月頃の気候なのだ。

 しかし、今年12月育苗をしてみて、分ったことは穴あきビニールトンネルをした方が、良かっただろうと言うことだった。防風ネットは日の光を遮りすぎる。そして、低温の日があっても防げる。苗は播種から、五週育苗で5葉期二分ゲツになるのが理想。

 四葉期ぐらいの苗で、五葉期まで成長した苗は少なかった。まだ苗代の場所の土壌が、十分に豊かではないと言うこともあったかもしれない。「ミルキーサマー」と言う品種の特性もあるかも知れない。あまりがっちりした株姿にもならない。同時に苗を作った「ゆがふもち」の方が、生育も早いし、姿も大きかった。


 黄色っぽい株は根が弱ってしまった株。穂を長い間漬けてから稲刈りをすると、根が弱る。最初は病気なのかと思ったが、そうではなく、根が枯れかかり、出てくるひこばえが黄化することが分った。これも徐々に育てると、緑のひこばえが出てきて、穂を付ける。ひこばえをやるならやはり早刈りと稲刈り前の追肥は必要だ。

 来年はどんな品種を作ることが出来るかで、育苗も変るかも知れないが、今年は五種類のお米を作ったので、どの品種が石垣の気候や、ひこばえ農法に適合しているかを調べようかと考えている。現在、ひこばえ農法は「台光」でやっている。

 「台光」は西表島で7カ所で作られているそうだ。台湾から来たお米というのだが、台湾にはそういうお米は無いそうだ。作ってみると不思議なお米で、どうも餅米が交雑しているかのようなお米だった。8月播種。1月13日稲刈りで、現在ひこばえの穂が出はじめている。

 台光はこのまま、稲刈りをして、3回目のひこばえをやろうと考えている。肝心なことはひこばえは肥料不足にならないことだ。台光で一カ所六株ほどかなり元気になった場所があった。それは稲刈り2週間前に堆肥のよみがえりを撒いていたときに、転んで堆肥をぶちまけた場所だった。

 やはり、稲は十分に穂を実らせると、根が弱るようだ。そのために出来れば早めに稲刈りをすることと、稲刈り前に次のひこばえのために肥料を入れることが必要になるようだ。
今回の一番田んぼの台光ははばらつきも大きいので、株の状態によらず、5月11日前後に、牛糞堆肥「よみがえり」を入れる。

 そして、5月18日に稲刈りを行う。この稲刈りはできるだけ、高刈りをする。そして、稲刈り後に状態を見ながら、追肥を十分に行う。3番のミルキーサマーは5月4日にはよみがえりを多めに追肥をして、18日に稲刈りをする。ひこばえが元気に育つ農業技術を今年こそ確立する。

 その他ひこばえをやる田んぼがあれば、どこも同じように追肥をして、ひこばえが十分育つようにする。ひこばえをやらない田んぼがあれば、出来れば、その後を私がその田んぼを引き継ぎ、ひこばえ技術の田んぼの管理をして、ひこばえ技術の実験をさせて貰う。

 昨年ひこばえの方が味が良いという結果もあったので、今年はひこばえの味がどうなるかも比較できるようにしたい。籾保存を冷蔵庫でしておいて、それをひこばえのお米と同時に籾すりをして、食べ比べをしてみたい。味がひこばえで良くなるのか、悪くなるのか、あるいは変らないのか。興味がある。

 中国ではひこばえのお米を、漢方米と呼び、差別化して売っている事例がある。夏が暑すぎるためか、クロマイの場合、涼しい時期の二期作の方が色が黒くなると言われている。条件が悪くなる二期作の方が、むしろクロマイの特徴が、ポリフェノールの蓄積が強くなると言うことらしい。

 このミネラルの蓄積が条件によって多くなる現象と漢方米との関連はあるかも知れないと推測している。ひこばえ米の成分分析のようなことが出来ないものかと思う。まだひこばえは分らないことが多いいが、ともかく確かめるべき事が沢山ある。

 昨年は、ひこばえ米は一度田植えで、三回の収穫が出来ることは確認できた。今年は、なんとかひこばえ米の四回収穫までやってみたい。上手く継続できそうなら、インドネシアのように、七回連続収穫まで続けてみたいとも思っている。

 
 

 - 楽観農園