稲作ひこばえ農法の経過

   


 
 のぼたん農園では「あかうきくさ農法」ともう一つ「ひこばえ農法」に取り組んでいる。ひこばえを利用し、一度田植えをしたら、3回収穫が出来る農法である。インドネシアでは7回連続で収穫すると言うが、むしろ1年3回の収穫の方が、農業利用には向いていると考えている。

 12月に種まきをして、苗作りをする。1月に田植えを行う。5月に一回目の稲刈り。ひこばえを育てて、8月に2回目の稲刈り。11月に3回目の稲刈り。その後、一度田んぼを乾かし、荒起こしをして、宿根草などの雑草を枯らして、1月に新たな田植えをする方が、合理性があると考えている。

 1番田んぼでは、台光という台湾の稲を1月13日に1回目の収穫した。現在、2回目の稲刈りに向けて、ひこばえを育てている。たまたま台光と言う台湾の品種が、昔から西表で作られていて、その種を頂くことが出来たので、8月末に種を蒔いた。暑い時期の苗作りで、少しばらつきが出た。

 また、他には稲が実っては居ない、12月という冬の実りになったので、鶏に狙われてしまい、出来は十分ではなかった。今は2回目の収穫に向けて栽培を続けているところだ。ほとんど鳥に食べられてしまった部分が成長が良い。穂を実らす事で稲はかなり力を出し切るものだと分かった。

 収穫する1週間前に、牛糞堆肥よみがえりを入れた。1反150キロほどだったが、これでは全く少なかった。かなり思い切って入れなければ、ひこばえを十分に成長させるだけの肥料分が土壌に無い事が分かった。反500キロは入れる必要がある。

 稲刈りは15㎝ほどの高刈りをした。稲刈りの時期は早めにやッたほうが良いことは分かった。稲の力を出し尽くすまで穂に栄養分を上げてしまうと、ひこばえを出すとからを衰退させるようだ。高刈りに効果があるのかどうかは、不明の結果であった。

 その後3週間ほどしてから、刈払機で低く刈りとった。それは出てきたひこばえにばらつきが大きすぎるために、穂出をそろえるために行った。それでもまだばらつきが目立つ。この時期によみがえりの堆肥を入れるべきだったが、やらないかったことが影響した。

 それでも、ひこばえは順調に生育してきている。一部に黄色い稲が表れて病気ではないかと思われたが、実際には病気では無く、根が肥料不足で弱ってしまった稲という気がしてきた。そこで、慌ててよみがえりを追肥した。そしてコロガシを2回行った。

 その結果すこしづつ黄色い株からも濃い色の葉がでてきた。回復する可能性が出てきた。生育のばらつきが大きい。また、弱い株は早く不十分な穂を出してしまう傾向がある。株を元気に育てることがひこばえ農法では重要なことになりそうだ。

 基肥料として、よみがえり堆肥を、稲刈り2週間前に反500キロ入れる。ひこばえが揃ってきたところで、刈払機で刈り取り、もう一度肥料を反200キロ入れる。その後も生育を見ながら細かく追肥を十分に行う。土壌がまだ出来ていない為もあるだろうが、肥料は多く必要だ。

 コロガシはどんどんやる方が良いようだ。稲は一度上根を張り巡らしている。その根を切るようになるが、切るにしてもコロガシをした方が良いことは確認できた。何度でも転がすことで、根が再生してきて、新たな根が広がり株に勢いが出てくるようだ。

 浅水で転がして、アカウキクサを漉き込んで行くことも効果がある。土壌の湛水状態が長くなり、部分的には腐敗臭がしてきている。その意味でも、コロガシを繰返ししたい。良い土壌になれば、ひこばえも活性化して根を伸ばし始めるようだ。

 
  ひこばえは普通に成長すれば、1回目の稲よりも分ゲツ数は増える。増えた分ゲツを十分に成長させるためにも肥料が必要になる。特に穂肥が十分に無ければ、粒張りが悪いお米になる。今のところ土壌が出来ていないために、ひこばえを元気に成長させるだけの、十分な肥料が無いと感じている。

 土壌の腐植分が不足している事があると思う。稲わらの分解も早い。ひこばえも刈り戻しているのだから、一回目の稲刈りの藁も戻している。堆肥も少しではあるが入れている。それでも、腐植が増えてきたという感じはしない。やはり分解が早いという気がする。コロガシのやり過ぎかも知れない。

 しかし、転がさなければ土壌が悪くなってきている。水温が上がり、漉き込まれた腐植質が分解されているのだろう。部分によってはそれがメタン発酵になっている気がする。コロガシながら、堆肥を適時入れて行く事が現状では一番有効な方法だと思われる。

 始めた時にはインドネシアにあるサリブ農法と言うことで始めた。稲が再生されると言うことだった。ひこばえでは無く、再生された稲だから、また15枚葉がでると言われていた。しかし、15枚は葉がでない。せいぜい7枚くらいで穂が出てしまう。

 どうやれば15枚葉がでるか、相当に悩んだのだが、結局の所15枚葉がでてくるような再生稲は、つまりサリブ農法は、私には出来ないと言うことが分かった。私に出来ないから無いものとは言いたくはないが。ひこばえを旨く育てる、ひこばえ農法にそれから変った。

 ひこばえ農法をしら別と、中国では食糧危機に備えて、ひこばえ農法がかなりの面積で行われていることが分かった。ひこばえに特化した品種が10種類近く選抜され、改良も行われている。日本の稲作技術は中国にかなり後れを取った。

 日本では食糧危機に対する意識が無いのだ。自力更生の中国では食糧自給は真剣に取り組む問題になっている。日本が食料という国の基本が揺らぐ、かなり危うい国になり始めている。私に出来ることは、永続性のある自給自足技術の確立である。

 石垣島には石垣島のやり方がある。「あかうきくさ農法」と「ひこばえ農法」である。何としても確立して、石垣島では永続性のある自給生活が可能だという所まで、確立したい。もう一息まで来ている気がする。動ける間に確立したいものだと思っている。

 - 楽観農園