食糧自給は70%の人にはできる。
日本の政府は食糧自給を放棄している。世界は人口が増加している。農地の面積は限界に達している。日本では急速に農業者の減少が起きている。外国人労働者が日本で働くメリットが減少してきている。円安が続いている。流通コストが増大している。エネルギーコストが高止まりである。
諸条件が食料の安定供給が危うくなることを示している。第一段階アトして、食料価格はかなり上がって行くことになると考えなければならない。生活費に占める食料費が上がって行くだろう。第2段階として、貧困層が食糧危機に陥る。第3段階として、終戦後のように、多くの人に食糧自給生活が、選択肢に入るはずである。
と言っても、実際に食料を生産したことのない人にとっては、農業をやりながら他に職業を持っての暮らしは、具体的には想像しがたいものではないかと思う。家が農家であれば、父親が大抵は働きに出ながら、農業をしているという姿を見ていて、ある程度は想像が付くかも知れない。
しかし、そうした農家で育つ子供自体がすでに少数派である。仮に農家で育ったとしても、大抵の親は農業は単作農業で、自給的傾向は珍しくなっている。農業の見通しが暗いから、農家の親は止めて公務員にでも成る方が良いと言うので、子供に農業を教えたりはしないかと思う。農家のままでは婿も嫁も来ないのが普通だから、むりもない話になる。
いずれにしても、農業では食べて行けないというのが、日本の現実である。これからは物価上昇の社会になるだろう。賃金もそれに伴い一定上昇するだろう。ところが、農家の収入は増えないはずだ。この食料品上昇局面でも値上がりしないのがお米の値段だ。
農業を仕事にしていては食べて行けないのは、今までもこれから先も変わらないだろう。だから個人経営の農家は止めて行くのだ。早く辞められた人ほど賢いというような状況なのだ。一方で大規模化した、企業農業が出てきている。政府はこの大規模農業は推進している。
大規模農家向けの補助金も様々用意されている。となると、個人の規模のいわゆる農家はその大規模農家と、補助金なしで経営では競争しなければならないのだ。よほどの才覚があれば、小さいなりの特殊解を見付けて、やって行けるかも知れないが、普通の人では無理と考えた方が良い。
農業者はアパート経営、第2種兼業でもしていなければ、とても続けられないのが現実だろう。適当な兼業がなければ、止めるほかないだろう。それでも農業はおもしろい仕事だから、やってみようとする人は必ず居るはずだ。貸し農園が経営できる。植物を育てることが面白ことだからだ。
魚釣りが趣味という人も居る。しかし、漁師になるという人は少ない。同じである。農業は趣味であれば、とてもおもしろいものであるに違いない。おもしろいうえに、自分の食べるものが出来るのだから、まさに趣味と実益で、やり方次第ではなかなか興味深いものである。
絵を描くのが私は好きだ。描いた絵が売れて、絵描きとして暮らせれば良いと考えて頑張った時期もあった。しかし、絵を売ると言うこと自体に耐えがたくなった。絵は投資対象として、販売されていた。この画家さんはこれ値上がりしますなどと見られるのだ。
私の絵など値上がりするとは思えないし、そもそも商品を書くなどと言う事が上手くできないのだ。出来ないことで、頑張ることが限界になり、絵を売る絵描きは辞めた。絵を描くのはそれでもおもしろくて仕方がない。だから今でも描いている。
傍から見れば趣味と言うことなのだろう。自分では商品ではない絵を描いているつもりだ。つまり藝術としての絵画は、商品ではないと考えているのだ。資本主義の社会では、商品でないものは価値がないものと言うことだから、この時代には受け入れられない姿なのだろう。
好きで農産物を作り、自分で食べる。これはおもしろい上に、生きて行く上で必要なことだ。やりがいもあるし、楽しい時間だ。問題は農業技術である。絵もおもしろく自由に描くには、かなりの技術が必要である。農業も知識を十分に持ち、科学的な思考力が無ければならない。
農業技術は学ぶ必要がある。しかも、小田原と石垣では相当に違う。気候や土壌が違えば、簡単には結果が出ない。小田原で35年やってきた私であっても、石垣での農業技術の確立には、まだまだ時間がかかる。それぐらい難しいことであるから、初めての人には障壁がある。だからこそおもしろいことでもある。
のぼたん農園では石垣島の農業技術を共に学ぶ場にしたいと考えている。一人で出来ることには限界がある。のぼたん農園では8グループ30人が関わっている。様々な方法で、やってみては失敗を繰り返している。失敗を通して、石垣島の自給農業の技術を確立しようとしている。
1,アカウキクサによる緑肥。石垣島の土壌は腐植がたりない。
2,光合成細菌の投入。少ない水の腐敗を防ぐ。
3,ひこばえ農法。2年で7回の収穫をするスマトラ島のサリブ農法の再現。
4,一年中水のある田んぼ。石垣の土壌には泥沼化しない適性がある。
5,バイオガス設備。水牛糞の有効利用。
6,毎月稲刈りを行い、新米を食べる。
2,光合成細菌の投入。少ない水の腐敗を防ぐ。
3,ひこばえ農法。2年で7回の収穫をするスマトラ島のサリブ農法の再現。
4,一年中水のある田んぼ。石垣の土壌には泥沼化しない適性がある。
5,バイオガス設備。水牛糞の有効利用。
6,毎月稲刈りを行い、新米を食べる。
やってみなければ確認できないことばかりだ。後4年の間に石垣島の自給農業を確立する。そしてその後5年間はその活動を広げて行く。外から、のぼたん農園に自給農業を学びに来てもらえるようにしたい。学んだ人が、石垣島の各地で、自給農業を展開してくれれば良いと思っている。
石垣島には50カ所くらいの自給の水田が必要である。3キロごとにアカウキクサが生きている、自然栽培の田んぼがあれば、水田が生き物の多様性を維持する場になる。赤土の流出を防ぐことにも成る。石垣島の環境に永続性が生まれてくる。
50カ所と言うことは、市民500人が田んぼをやればいいと言うことになる。つまり、1%の人が田んぼをやれば良いことになる。石垣島で暮らす人の100人に一人の人が食料自給に関われば良い。どんなことでも3%の人は興味を持つそうだ。
と言うことは間違いなく、潜在的には1500人の人が田んぼに興味があると考えて良いのだろう。そのうち3人に一人が実際にやる事ができれば、目的が達成できる。それほど難しいこととは思わない。のぼたん農園はそのための第一歩だと思っている。
食糧危機は近づいている。間違いなく私が生きている内に始まるだろう。始まるまで政府は、友好な手立ては打とうとしないはずだ。だから、自分の食べるものは自分で確保するほかない。今からそのつもりで準備した方が良いと言うことになる。