ロシアはなぜ戦争に進んでしまったのか。

   



 ロシアは突然、ウクライナに軍事侵攻した。何故この時代になって軍事侵攻などと言う暴挙に出たのか理解しがたいことだった。世界の情勢から見れば、衰退気味の資源依存国ロシアが、突如暴発したとしか見えなかった。戦争をして例え勝利して、ウクライナを併合したところで、ロシアに展望など無い。

 ロシアは勝利しようが敗北しようが、世界から経済制裁を受け続ける。冷静に考えれば不利なことばかりなのに、何故暴発したのかと、理解しがたいことだった。戦争はそんな理性によら無い衝動で起こるのかも知れない。この軍事侵攻は合理性のない行為だから、予測もしがたいものであったし、今もって本当のところは理解しにくいことだ。

 色々の推測がでた。プーチン発狂説。プーチン重病説。確かにまともな人間なら、間違ってもやらないことだから、それなりに説得力はあった。しかし、一年近く経っても様子に変かはないから、発狂でも、重病でもないとしなければならない。

 時間が経過して冷静にこの狂った軍事侵攻を考えてみると、これはロシアが衰退をして後進資源国化したことが原因していると考えざる得なくなった。経済競争に敗れると言うことは、こういうことなのかと思うようになった。ソビエトは世界を二分する大国であった時代がある。

 米ソ冷戦時代である。宇宙開発競争などと言いながら、北朝鮮さながらの、ミサイル競争をしていた時代だ。着きにどちらが先に行けるかといいながら、それは大陸間弾道ミサイルの競争のようなものだった。両国は核競争も行い世界2大核保有国になった。

 こうしてソビエト時代のロシアは、世界を二分する東側の盟主国であった。私の小学校時代の担任だった先生は、ソビエトを讃えてやたら細かく長い時間をかけて、コルホーズやソホーズの理想郷を指導していた。当時からそんなはずがないと考えていたが。

 ソビエトが鉄のカーテンの中で、理想の国作りをしているのかもしれないという、まだ幻想していた人がいた時代があったのだ。当時のソビエト国民は極端な貧困からの、高度経済成長の時代だったのだ。今の中国と似ていたのかも知れない。オリンピックではアメリカに勝つために、禁止薬物の使用が一般化されていた。

 経済成長が終わり、経済の停滞が始まる。どこの国でも必ず来ることであるが、ソビエトの場合資源依存が強かったから、経済はほぼ産油国の様相を得てくる。大国に相応しい経済とは到底言えなくなり始めた。産業立国が出来ない。そういう情勢だからこそ、東西の冷戦が終わり、ソビエトから東側諸国が離れてゆく。

 ソビエト連邦自身も崩壊し、空中分化してゆく。ウクライナの独立もその過程で起こる。旧ソビエト連邦の国も、ロシアに支配されていることにはそもそも耐えがたい抑圧感があったのだから、国家として独立運営できる国は徐々にロシアとは距離を保つようになる。

 それに対して、仮想敵国ロシアで団結を続ける、NATO諸国はそのかつてのソビエト衛星国をNATOに加えようとする。ロシアは経済は衰退を続けるが、軍事大国である事だけにかけているから、衛星国を失い続けることは、世界が想像していた以上の、痛手だったのだろう。

 もしウクライナがNATOに加盟すれば、次はロシア国内の様々な民族からも独立運動が起きる可能性がある。力で抑えて国を維持しているロシアにしてみれば、金の切れ目が縁の切れ目である。ロシアは多民族国家であり、民族弾圧は中国以上である。経済で繋がっている国。

 チェチェン紛争に見られるようなイスラム系の独立運動も存在する。アフガニスタンがタリバンの支配になれば、ロシア国内出も何が起こるか分からないことになっている。現チェチェン共和国ではプーチン大統領の傀儡のカドゥイーロフ首長が国内で独裁を振るっている。しかし、独立派が何時蜂起するかは分からない。 
 
 ロシアが民主主義を育ててこなかったために、権力に力と経済に隙ができれば、即座に不安定化が起こる。ロシアはこの経済衰退の結果、後進国化したことで、予想以上の焦りが起きていたのだ。この国内事情が、ロシアがウクライナ侵攻を行った理由だ。

 ロシアがウクライナ軍事侵攻をした原因は、国家資本主義と自由主義圏の経済連携との対立の結果である。中国の経済成長が著しいと言うことは、ロシアにしてみると、何故ロシアが中国のように成長できなのかと言うことになる。ろしあの産業の停滞は長く続いている。世界の競争に遅れ始めている。

 特に多民族国家で一部のロシア人が支配している中央部と、その広大な周辺部とは状況が異なる。日本に入ってくる情報の大半は中心部のロシア情報となる。農業のような一次産業の地域は、気候的に条件が悪く離農が続いている。

 中国隣接極東地域では中国人に土地が買い占められるようなことが起きている。中国から渡り鳥と呼ばれる出稼ぎ労働者が、ロシア人名義で農地の購入競争を展開している。極東地域はロシアとしては資源開発以外に産業が衰退している。資源依存国の労働意欲の衰退。他の地域のことは余り分からないが、似たような状況と推測して良いのではないか。

 経済が衰退してゆく中で、一番深刻なことが国民一人一人の活力が失われることだ。中国人は出稼ぎでも何でもして、一か八かにかけて大いに稼ごうと頑張る。ロシア人には借金をして農地を購入して大規模農業を展開しようなどという意欲は出てこない。

 日本のことを考えてしまう。日本出も活力の衰退が起き始めている。日本はアベノミクス第3の矢が放たれなかった。そういう新産業を切り開く活力が無くなったのだろう。大企業は内部留保を増やすばかりだ。楽天とか、ソフトバンクなど、投資で儲けることばかり考えている。

 日本政府は国民総投資家作戦である。貯金を投資に回させようと躍起である。学校教育にまで金融教育を導入して、投資が反社会的行為ではないという洗脳を行おうとしている。そもそもの日本人の倫理では、金貸しのようなものは金色夜叉と揶揄されてきた行為だったのだ。

 さらに恐ろしいのはロシアと同じで、戦争に目を向けさせることだ。八方塞がりになったときには、目を外国に向けさせようとする。自民党の勢力には中国が攻めてくると騒ぎまくる国会議員が存在する。そういう議員は去年台湾侵攻が在ると騒いでいたことを忘れたのだろう。平和外交など誰も試みようともしない。

 ロシアにはウクライナを攻めざる得なかった国内事情が存在したのだ。日本にも中国と対立をしなければならない国内事情が存在する。つまり経済の停滞である。経済が苦しくなると、軍事に目を向けさせようとする。このことを今年は本当に気を付けなければならないことになった。

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