政府の尾身会長への失礼すぎる言動

   


  野良猫

 尾身会長はオリンピックは止めるべきだ。こんな状況で開催するのはまともじゃないと国会で発言した。私にはそう聞こえた。そのように解釈すべき発言だと思う。それに対して無視すると厚労大臣が述べている。個人的な研究の発表だと、まるで馬鹿にしたような言い草である。

 今までの尾身会長が検討委員会の発言を一人でゆがめてまとめていたものが、ついに限界にきて本音で語ったのだろう。学者としての良心がついに現れたと見るべきだ。オリンピックで何かあった時の予防線という意見もあるが、そんなことではないと思う。

 政府の言いなりだったときには、政府の発言を代弁させておきながら、政府の態度は何という手のひらの返し方か。この尾身会長の意見をおかしいと考えるのは構わない。きちっとした政府の考えを示せばいいのだ。そこから議論が始まり、国民の理解が深まるのではないのだろうか。国会は討議をする場である。大いに語り合うべきだ。政府が何故オリンピックが開催可能と考えるのかを語ってもらいたい。

 党首討論を聞いたが、オリンピック開催に関する安心安全は少しも明確にならなかった。オリンピックを開催の際にどうやって人の動きを抑えるかがわからない。政府が充分な対策をしているとは全く思えない。記者などの行動をGPSで把握するとしているが、それが出来るなら、具体的に方法を示してほしい。

 尾身会長はしかるべき形で検討委員会の考えを示すと言われていた。是非とも実行してもらいたい。それを議論の出発点にしなければ、政府は今の不十分な対策もないままにオリンピックに突入することだろう。運が良ければ何もないかもしれないが、たぶん100名位の死者は増加すると考えて置くのが普通である。

 100名位なら経済的損出はいくらだから、オリンピック開催の方が儲かるというのか、IOCから違約金が請求されないで済むというのが、菅政権の本音と思える。頭が金銭ウイルスでおかしくなっているとしか思えない。

 このままコロナウイルスの感染連鎖が続けば、さらに強毒に変貌する可能性がある。菅氏も同じことを言っていたがワクチン接種を急ぐことしかない。自衛隊の14日からの東京の大規模接種会場は予約が1割しかないという。一体どうなっているのだろう。

  菅総理大臣の国会での答弁では「私自身は主催者ではない。東京都や組織委員会などが最終決定する」総理大臣として無責任極まりない発言だ。五輪を開催できるか否かの具体的な判断基準は示さずじまい。国民の安心安全に全く無責任な総理大臣はあるだろうか。

 政府は科学者に対して誠に失礼なことを言っている。幾ら自分に不都合な発言だからと言って、自分がお願いした検討委員会の会長に対して失礼すぎるだろう。意見は進言として受け止めるが、最終判断は政府が行うというのが、ごく当たり前の政治の在り方であろう。こうして政府が科学性を放棄するのは政府の劣化そのものである。政府がぐずぐずにだめになっている。

 もうそこまでに迫っているオリンピックが観客はどうするのかすら、決まっていない。何という無能なことか。選手のワクチンはどうするのだろう。選手をサポートする人間はどのくらいの制限をするのか。開催する以上不安な国民に対して説明が必要だ。

 経済の為にはオリンピックを強行する。これも一つの選択肢であるのだろうが、感染症の専門家の意見は無視してはならない。意見を受け止めて、自分の考えを主張すればいいのだ。はっきりとコロナ感染拡大の恐れが50%ぐらいはあってもオリンピックは開催すると主張すべきだ。

 そう考えれば、オリンピックを強行するとしても様々な方策が出てくる。オリンピック開催も一つの選択肢である。それを前提とする政府が今一番はっきりとさせなければならないのは、明確な感染防止策である。ひつこく書いているが、やるべきことをやらないことは政府の罪である。

 オリンピックに参加する選手と関係者にはワクチンを出来る限り接種したうえで、来日してください。と言えないものなのだろうか。もうワクチン接種の期限は来てしまう。こんな間際になっても行きどころのわからないオリンピックがあるだろうか。選手の気持ちを思えば、ひどすぎる。

 この状況ではすでに平和の祭典とは言い難いものになっている。オリンピック3か月延期が一番現実的だ。丸川氏はなんと延期は宿泊施設などの都合で無理と主張した。宿泊施設というのはお金のことだろう。人の命をおろそかにしていいのだろうか。いま緊急事態であることを理解できていない。

 まして、自ら無理とオリンピック大臣が発言してしまえば、IOCとの賠償金交渉が成り立たない。それを読むのが政治家だろう。この人は政治家向きではない。芸人的資質はあるからお笑いタレントが良いだろう。

 ワクチン接種が進んでいる。11月ごろまでならば、70%セントくらいの人がワクチンを打ち終わっているだろう。ある程度安心な気持ちでオリンピックを迎えることが出来るようになる。これ以上のストレスが加われば、日本人の精神が破たんを始める。

 イスラエルでは60%の国民がワクチン接種を終えた。一気にコロナ患者が減少した。20%くらいから効果が出始めるらしい。何が何でもワクチンを早く打つことだ。医療関係者が総動員でワクチン注射打っているところに、オリンピックで医療関係者が必要になることは許されないだろう。

 オリンピックをこのまま強行すれば、選手に対しても温かい気持ちで見れなくなる。安心安全なオリンピックだとわかるような説明を是非ともしてほしい。そしてIOCに、3ヵ月の延期を打診してもらいたい。唯一の残された選択肢ではないだろうか。

 確かにそうなると衆議院選挙前にオリンピック開催は無くなる。そんなことは今どうでもいいことだろう。オリンピック開催を強行し、無事に終わることに賭けている。それ以外では菅政権もつぶれるだろう。そんなことは国民の安心安全とは関係がない。選挙ありきの政治の行き詰まりである。

 野党だって同じだろうという意見もある。もっとだめだろうという意見もある。その通りだとおもう。日本の政治が劣化していると思う。残念なことだが、その原因は結局のところ国民の劣化である。国民の意識が拝金主義的になってしまったのだ。そのようにいつの間にか静かに洗脳されたともいえる。

 政府はまずオリンピックの安心安全の具体策を明確にする。そして、その案を検討委員会に諮問する。これが今やるべきことだ。その結論を待って、政府が判断する。是非ともお願いしたい。菅、橋本、丸川、の3名に日本の安心安全をゆだねるわけにはいかない。

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