パフィオの栽培を始める

   



 パフィオペデュラムの栽培を始めた。2年ほど前からコウトウシランやナリヤランと言う石垣島に自生してもいるランを栽培してみた。JAの市場で販売していた。石垣島の自然にあるランのだから、一番栽培しやすいと思われたからだ。確かに健全に育つ。随分長く花が咲いている。

 石垣島の環境は当然のことながら、ランには適合していることが分かった。最低気温が15度より下がることは滅多にない。今朝は14.7度であるが。寒くてもこの程度の物だ。今年は14度以下は2日だけだった。そして年間を通して湿度が高い。そして雨が多い。晴れの日でもとつぜん一雨来ることが良くある。

 雨の当たるところで栽培している。できるだけ水を与えず、雨水だけで栽培できればと思っている。雨がどれだけ降り続いても、ランが雨に当たって枯れると言うことはない。雨に当てないほうがいいと書かれた栽培書もあるが、私は昔から雨ほど良い物はないと思っている。雨水は酸素を充分に含んでいるから、根腐れするようなことはない。

 我慢はするつもりだったのだが、やはりパフィオペデュラムの原種は栽培してみたかった。まず実験としてロスチャイルドディアナムとデレナティーを栽培してみていた。デレナティーは枯れてしまったが、ロスの方は健全に成長している。今花芽が来ている。

 交配種のパフィオには全く興味が湧かない。整形花と呼ばれるパフィオの交配種の一群があるが、何が良いのか全く分からない。原種の花には様々な形の魅力がある。何故整形しなければ成らないのか、どうにも理解しがたい所がある。

 パフィオの原種の多様性は驚異的な物だ。それだけで十二分である。自然の究極の形に見える。進化の極にある花ではないだろうか。わざわざ整形と称してつまらない形に交配をしてしまうところが西洋の花の文化のつまらないところだと思う。庭なども西洋の庭は少しも趣という物がない。庭を左右対称にするなど、何というつまらなさかと思う。

 ロスチャイルドディアナムを東京で栽培したときにはもう一つうまく出来なかった。また、価格も当時は今の数倍はしていたと思う。洋蘭はこの40の間に値段が安くなった。それでも相変わらずあのつまらない整形花が100万円とか出ていて驚かされる。

 石垣島では2019.3.3日からランを栽培を始めたようだ。ブログを確認すると書いてあった。そろそろ2年になるわけだ。石垣島ではラン栽培に加温が要らないと言うことほど気分の良いことはない。充分に湿度はある。今朝は48%で滅多にないほど乾いている。こんな環境に暮らしていて、好きなパフィオを栽培をしないでは居られなかった。

 台湾に行ってパフィオの原種を手に入れようと思っていたのだが、それが残念なことに出来なくなってしまった。この調子だと台湾に行くのはあと1年は無理そうなので、ついに待ちきれず国内のラン屋さんから少し購入してしまった。直接通販で台湾の蘭屋さんから買えないのか調べたのだが、まだ皆目分からない。

 本当は台湾から直接手に入れた方が、気候的に石垣島と同じなのだから、栽培には良いはずだ。台湾ではパフィオ原種のシブリングクロス行われている。シブリングクロスとは兄妹株の交配である。同じ株で交配して種を取るのはセルフと言い自家受粉である。これは良い物がでる可能性があるが、株が弱くなる可能性も増える。
 
 シブリングクロス株が多く作られているので、原種の栽培も以前よりは大分楽になっているのではないかと思われる。40年前は山取り株ばかりだったので、栽培が余りに困難で、枯れてしまう物が多かった。本当に申し訳ないことをした。許して貰ら得ないほど罪悪感がある。現在はワシントン条約で野生の株は移動できない。

 パフィオはラン科植物のなかでも栽培の難しい方だと思う。パフィオも自生地は東アジアの熱帯から亜熱帯である。標高の高いところのものもある。ボルネオ島などの海岸の崖などに張り付いているようなものもある。

 好きなブレキペテュラム系統が作れるものかどうか。台湾の蘭やさんに栽培の様子も聞きたいと思っている。唐沢先生のパフィオの大著を持ち出しては、自生地のことを読んで想像を巡らせている。石垣島では標高の高いところのパフィオはダメだと思われる。

 今回もデレナティーを枯らしてしまった。ベトナムの山岳地帯に自生していた株が元になっている。ベトナム戦争の枯れ葉剤で自生地ではすべて枯れてしまったと言われている。幸良い株がフランスに送られており、そこで沢山生産された。

 私がフランスに居た頃も花屋さんでも見かけたことがあった。ピンクの柔らかい花で素晴らしいものだ。又購入してしまった。今度こそ枯らさないつもりだ。特にナンプ病にかかりやすいランである。えひめAIでも作りかけてみようかと思う。

 昔から日本でも有名なランに、台湾クマガイソウがある。クマガイソウが台湾のどういう場所に自生しているのだろう。たぶん標高1000メートル以上ではあろう。そういうことだけでも興味が増してくる。行ってみたい物だ。東アジアの島々には海岸地帯にもフィオの自生地がある。

 また、中国から台湾へ珍しいものも入ってきているようだ。30年ほど前に中国ではパフィオの新発見が続いた。香港が自生地とされるパープラタムなど、香港のどんなところにあったのだろうか。もちろん今はない。紫色の清楚の花である。しかし、セルフやシブリングされて残っている。考えただけでもわくわくするものがある。

 今回少し購入したが、後は我慢して、台湾に行って手に入れたいと思っている。今では日本の多くのランやさんが、台湾からフラスコ苗を購入して、鉢に植え込んでそれなりの大きさにまで育てて販売していると思われる。本土の気候にやっとなじんだものが、又石垣に来て苦労することになる。

 台湾の蘭やさんは育種もメリクロンも盛んなのだと思う。台湾は高原地帯もあり、ランを栽培するには絶好の地域である。標高3000メートルぐらいまで、車の道路があるようだ。そうした所にランの山上げ場所があるのではないだろうか。もう台湾が世界のランの中心なのかもしれない。

 そんな台湾のランやさんを一度たづねてみたいとおもっている。石垣にはそのランのメッカのような台湾の蘭展で審査員をされている方がおられる。石垣もラン栽培は盛んなのだ。

 尋ねれば買いたくなるのだろうから、今は日本で買うのを我慢している。40年前パフィオを始めた頃の状況は、新発見のパフィオが、見つかるとたちまちに乱獲で自生地では絶滅して行くと言われていた。ようやくメリクロンが行われ始めていて、ミリクロン技術で絶滅を逃れることが可能になったのだろうか。まだ再開したばかりで、今のことはよく分からない。

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