独裁の限界は必ず来る
中国の経済発展の速度は、日本の3倍速くらいの勢いだった。中国に行く都度その変わり方で驚いた。この間自民党の議員の多くは中国は破綻すると言い続けていた。結局の所中国の失敗に期待しながら、日本経済は置いてけぼりを食らうことになった。
独裁政権の方が、国家資本主義の方が、経済成長は早いということになる。経済成長は早いのであるが、行き詰まったときの危険が独裁政治にはある。中国は素晴らしい勢いで成長した。その分だけ社会的矛盾を抱えているはずだ。その反動を独裁で押え込んでいるのだろう。
中国の問題はこの先にあると考えている。経済成長を続けている間には問題は起きない。後進国から経済先進国に変わり、独裁だけではどうにもならない時が来るということである。経済の停滞は経済の発展の途上に於いて必ず来る。
社会が停滞に入ったときに独裁政権ではこの経済停滞はのりきれないと言う不安がある。独裁政権は停滞した経済から来る国民の反政府的な動きを、様々な形で押え込もうとするだろう。目を外に向けるために、軍事的行動に出ることもあり得る。経済停滞が独裁政府の為に起きているということになれば、独裁は崩れる。
もし中国がその経済停滞を乗り切れるとすれば、それは上手く独裁政治から、民主的な政治に変更が出来たときだと言えるのかもしれない。経済停滞を政府の責任ではなく、国民一人一人の問題だと自覚できるかどうかにあるのだろう。そうでなければ、習近平がプーチンになり、さらなる強権政治になる。
もし、中国が日本のような経済停滞に陥ったとき、明日の食べ物に不安が生じたときには、何か危うい兆候が現われるはずだ。それは中国だけでなく世界の不安定化に繋がる。食糧危機は近い将来の世界の一番の不安定要素ではなかろうか。
それを食い止めるためには、世界中が戦争など止めて、食料の生産をしなければならない。日本のような自給率が3分の1という国は、成り立たない日が近づいている。日本の安全保障の第一は食糧自給である。そのためには大型有機農業稲作技術の確立である。
世界の人口増加と食料生産の統計から見れば、後10年で、お米を輸出しなければならない時代が来る。ある意味世界の飢餓状況を見れば、すでにその日は来ているとも言える。貧しい国では食べるものがなくなり始めている。日本のその日に備えて、食料生産の体制を整える必要がある。
中国との交流をしてゆく以外にないだろう。独裁国だから、距離を置くというのでは中国の民主化は遠のく。中国が普通の民主主義生寺に徐々に変わるためには、世界の民主主義国家が自由な関わりを持つことだろう。中国人は優秀である。必ず、民主主義社会の良さを理解できるはずだ。
日本の今ある経済停滞は国民一人一人の問題でもあると言える。だめな政府を選択しているのも日本人である。だめな野党である事も自分たちの問題だと考えている人が多数派だろう。民主主義なのだから、仕方がない。諦めて停滞の中で生きて行く道をそれぞれに探すほかない。と言うような自助の国日本。
その曖昧で決断がないのが民主主義政治なのだろう。不愉快で中途半端なものではあるが、軍事独裁政治よりはましだということを、何度でも考え直さなければならない。もし日本が再生することがあるとすれば、国民一人一人が成長して、他人を責めたり、政府を責めたりするのではなく、自分が社会を良くしてゆく努力をすると自覚できたときになる。それが民主主義国家である。
民主主義社会は復元力あると思っている。人間は信じて良いと思っている。日本は今停滞した責任の所在を、自問しているのだろう。そして停滞した社会を復活してゆくための、一人一人の役割を見付けるはずだと思っている。たぶん成長志向ではない、幸せな国を目指すことになる気がする。
だめな民主主義でも軍事独裁よりはよほど増しなのだと自覚すべきだ。アメリカではトランプが登場したように、中国の成長に驚き、強権政治への傾斜が起きている。民主主義を軽視しても強権を持って、外国と対抗するべきだという極右政党が各国に登場し、トランプ的な人物が選挙でかなりの得票を得ている。
東アジアでもミャンマーのように軍事政権になり、国民の弾圧を続ける国が誕生している。北朝鮮の独裁は相変わらずである。中国は習近平政権にいたり、独裁政治体制を強めた。各国様々ない危うい状況を抱えているということだろう。日本はついに敵基地攻撃能力を保有するという、危険な戦争への道に入ろうとしている。
岸田政権が何故かアベ政権どころではない、一気に平和憲法を放棄してしまった。それに対して大きな反発も起きていない。多くの国民がロシアのウクライナ侵攻を見て、恐怖で判断を誤っている。なまじの攻撃力を持つことは危険を増すだけだと、考えなくてはならない。
平和外交を続ける以外にない。国民の交流である。互いを人間として知り合えば戦争がいかに馬鹿げているかを実感できる。人間として付き合うこと以外に平和はない。具体的にいえば、尖閣諸島の帰属を話し合うことだ。中国との関係の改善に尖閣諸島がなるとすれば、領土どころではない日本の利益になるはずだ。
日本では極右勢力といえば、アベの10年間であった。アベは巧みにその本質を隠しながらの政治であったが、極右勢力に誘導されて動いていたことに間違いない。ある種の傀儡政権のようなものであった。極右勢力の巧みな木偶人形戦略である。そしてアベは反日勢力の統一教会問題で暗殺された。
ここに在るアベの闇勢力は実に複雑で、混沌としている。財界右翼から電通。日本会議から統一教会まで含み込む、有象無象の得体の知れない、裏勢力。安倍晋三を含む19人の閣僚のうち15人が、改憲・右翼団体「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)に加盟している第2次安倍改造内閣 。
アベ時代は日本型の巧みな強権政治だったのだ。そのために日本の民主主義は弱まり、国民一人一人が国に対して希望が持てなくなった。国民が国に対する責任を感じなくなった時代だったのだ。政治に於いて何をやっても無駄だ。日本の独裁は真綿首だったのだ。
誰もが諦めて政治に期待しなく成る状態を作り出し、いつの間にか再軍備をして、南西諸島に自衛隊攻撃型ミサイル基地をはいぶするという、新しい形の独裁。これに対して地方の政治は個別にお金や名誉によって、洗脳をされていったように見える。
アベが暗殺され、岸田総理大臣もテロに遭った。時代が変わり始めている兆候と考えるべきだ。殺す必要など少しもないのが、民主主義体制の総理大臣でなければならない。民主主義が生きていれば、総理大臣テロをしたところで何も代わらないということが分かるはずだ。
総理大臣は力などないほうが良い。国民の意思で政治は変わるというのが民主主義だ。日本は今軍事国家に変わろうとしているところだ。変わってからでは戻れない。この変わり目に対して、反対運動が起きない所に恐ろしさを感じている。