アメリカハマグルマの除去

   



 石垣島で一番困っている帰化植物はアメリカハマグルマである。アメリカハマグルマは、アメリカ大陸原産のキク科の植物で、法面などの緑化用と して県内各地に導入されて、それが広がり今や山深い於茂登岳の奥まで蔓延り始めている。

 何とか除去しないと貴重な植物が圧倒され、消えてゆくことになると思われる。水牛の「わかば」を放牧している草地は最初は牧草で覆われていたのだが、わかばが牧草を食べたあとにはアメリカハマグルマが広がってきている。

 すでに草地に侵入していたのだとは思うが、牧草が無くなったあとはたちまちアメリカハマグルマが勢いを増して、牧草が生えなくなってきてしまった。何とか対策をしないかぎり、牧草が発芽できなくなる事が、はっきりしてきた。


 抜いたアメリカハマグルマの山。

 水牛はアメリカハマグルマをまったく食べないことでもない。気が向いたように食べていることもある。ところが、食べたとしても上部の葉の部分だけだから、茎が折り重なって編み目のように残った状態になる。しばらくすると葉が再生してくる。

 除草剤を使ってアメリカハマグルマを除草するとなると、グリホサート系の除草剤ラウンドアップをつかうことになる。発がん性があるとされている、ラウンドアップである。生産国アメリカと何でも従うだけの日本以外の先進国では、発がん性があるとしてだいたい禁止に向かっている。

 果たして除草剤を使わないでアメリカハマグルマを抑えることが出来るかどうかである。使いたくないという気持ちは誰にでもあるが、アメリカハマグルマが石垣島の自然を覆い尽くしてしまうと言うことも耐えがたい。ではどうすれば一定の範囲で押さえ込めるかをやってみるほか無い。



 まず手取りでどの程度やれるか試してみた。半日かけて20㎡ほど取り除いた。それでも地下には根が残っているから、この後どのくらい再生してくるのか経過観察するつもりだ。繰返し取り除かない限り、なくならないのではないだろうか。

 刈払機でやはり20㎡ほど刈ってみた。これは10分もあれば作業が出来た。ここは繰返し刈っていたら、無くなるのかどうか試したいと思っている。刈った草から再生していると言われているほど強いから、どこまで期待できるかは分からない。

 三つ目の方法は防草シートで覆って見る方法。これで枯れてくれるのかどうか。光を遮断して一ヶ月ぐらいで枯れるのだろうか。どうもその程度では枯れないような感じもする。どうしても完全に覆えないと言うこともある。様子を見るほかない。

 第4の方法として夏場であれば、透明のビニールシートで覆うという手もある。石垣島の光は強いから、地中の温度まで上がり、枯れる可能性はある。この方法には少し期待しているので、11月では少し可能性は低いがやってみたい。

 どの方法も万全とは言えないものだが、除草剤を使いたくない以上それくらいの挑戦はしないわけにはいかない。除草剤を使わなければ、近代農業は成立しない。変わる方法を提示できないのであれば、除草剤を否定できない。

 田んぼの草はジャンボタニシをコントロールすることで何とかなることが分かった。田んぼの除草剤は使わないでも出来る農法が提案できる。今度はアメリカハマグルマの除草のやり方を見付けたい。これは相当に難関であるが、何か方法を見付けなければ、石垣島の自然はこの草で覆われる日が来るだろう。

 

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