トランプは世界を変えている。

   



 トランプアメリカ大統領は歴史に名を残すほど、世界にとってひどい大統領である。世界で一番経済力のある国が、一のことは考える必要が無いと宣言しているのだ。上手く付き合えるのはアベ氏ぐらいである。アベ氏はトランプの利己主義を良く理解して対応している。

 始末に負えないのは、ヒットラーと同じく選挙で選ばれた人気者なのだ。世界の悪い風潮に載っているのだろう。問題はなぜ、アメリカでは強い人気を博して居るのかの理由である。

  日経新聞による分析では、支持される理由は以下のようなものだ。
▼政府は不法移民に寛容すぎた。トランプ大統領は批判を恐れず、取り締まりを強めてくれる。
▼オバマ時代にまん延した過剰な「弱者救済策」を断ってくれる。オバマケアの廃止や手厚い生活保護の是正が、その一例だ。
▼中国などからの不公正な輸出攻勢に高関税をかけ、真剣に歯止めをかけようとしている。

 こうした政策を一番支持しているのが、白人低所得者層だという。アメリカでは1%の富裕層がアメリカの富の20%を閉めているそうだ。極端な格差社会である。

 1%の富裕層は当然トランプ支持である。自分たちの利益を代表する大統領である。理解しにくいのが、低所得者の白人層の根強い支持がある点である。弱者がより弱者を叩く構図である。

 自分たちが働いても低所得であることは、能力主義である以上仕方が無く受け入れる。しかし、働かないで救済されている人達が同じような暮らしをしているのは認める訳にはいかない。より下層の弱者を叩くことで、働いても富裕層には慣れない人達の不満を巧みに、トランプは吸い上げる。

 アメリカの働いても富裕層には慣れない人達にしてみると、アメリカが裕福になる事が、直接的に自分たちの生活向上になるという意識が強い。アメリカがさらに経済成長することを妨げている、中国を叩くと言う考えになる。中国が不公正な国家資本主義であると決めつけている。ではアメリカは公正なアメリカ一国主義なのであろうか。
 
 自分が良くなるためには、対抗するものを潰さなければならないというトランプの考え方。問題があるとすれば、自分にでは無く、相手側にあると決めつける姿勢。中国であり、移民であり、ケアーを受けている弱者に問題があると考える。

 アメリカの製品や産物が売れないとすれば、競争相手が不正な競争をしていることが原因と考える。公正な競争であれば、アメリカがすべての面で勝利するという前提がある。

 公正な競争とはアメリカの考える公正である。アメリカと付き合おうというのであれば、アメリカの考える公正に従うことが当然だとしている。それが嫌なものはアメリカと関係するなということである。

 確かにアメリカは超大国である。アメリカの考える公正に従うことで恩恵を得ようという日本のような国がある。一方でアメリカの考える公正に対して、自分なりの公正で対抗しようとするのが中国である。
 
 中国もアメリカも勝利者になるための主張である。両者とも勝てると考えている。そもそも競争にも加われない、小さな国や資源の無い国の事などどうでもいいことなのだ。勝利できないものは能力が不足しているのだから、仕方が無いということになる。

 こうした、利己的な二つの大国の出現が世界を変え始めている。

 アメリカは中距離ミサイルの禁止条約を離脱して、早速ミサイル実験をしている。当然沖縄の基地にはミサイルが配備されるだろう。核弾頭すら持ち込むのかもしれない。すでに、中国もロシアもそれに対抗する軍事競争が始まっている。

 確かに禁止条約に加盟しながら、隠れて中距離弾道ミサイル開発を進めていたのであろう。宇宙開発だって、実態は大陸弾道弾の開発のようなものだ。それは、ロシアだけで無くアメリカだって同じだ。ロシアが悪いから、アメリカも悪くならなければならないと言う理屈が支持されている。

 アメリカはやっと加盟した温暖化阻止のパリ協定も抜けた。アメリカが一番責任があるのが温暖化だ。そのアメリカが負担が不平等だとパリ協定の離脱である。トランプはCO2による気候変動を認めていない。自分の都合の悪い科学的な予測は受け入れないでいた方が、特だということなのだろう。

 トランプはアメリカ一国主義を主張している。だから、20年にわたって連帯してきたクルド人勢力の支援を突然打ち切った。クルド人を助けても得
がないということだろう。日本に対しても同じ事だ。直接的な利益が無くなれば、日本との同盟も打ち切ると考えて間違いが無い。

 小さなお店だが、良心的で品質の良いお店が営業を続けているということがある。巨大な郊外マーケットができても、インターネット通販ができても確実に営業を継続するお店がある。人間や製品に対する信頼があるのだろう。

 日本もそういうしっかりと経営を続ける小さなお店になればいいのではないだろうか。そして、小さなお店同士ご連携をとる。EUはひとつの見本である。イギリスが今回抜けるのは極めて残念なことだが、アジアの小さな国同士がEUの東アジア型を模索することではないだろうか。

 そう考えると韓国と一日も早い仲直りである。日本は東アジアの各国に多大な迷惑をおかけした。その反省に基づき、日本の利害を優先せず、緩やかな連帯を模索することではないだろうか。

 

 

 


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