自衛隊を国土保全隊に変えよう。
大災害が続いている。今後さらに自然災害は強大化すると考えざる得ない。災害の都度自衛隊が出動しているわけだが、初めから自衛隊に自然災害の専門職としてかかわってもらいたいと思う。国民の命は外国からの侵略よりも、自然災害の危機に直面している。
今回千曲川の堤防が決壊して、大きな水害が起こった。よく絵を描きに行く場所だったので、詳しく知っているつもりだ。それほど丈夫な堤防にも思えなかった。堤防の中にも畑などがあって他には無い雰囲気がありとても美しい場所だった。
上流部の雨が一気に来たらしい。上流部の保水能力が弱くなっているのではないだろうか。山の管理が十分にできていない気がする。上流部にダムがあっても、ダムの放流ということにすぐなる。
山の樹木の日常管理をしないで、砂防ダムを造るという発想では限界がある。地域に置いて、山の管理を日常的に行う力が失われてきている。それが、今回のような水害につながっている。自然林で覆われた豊かな山ができれば、山の持つ保水能力によって土砂災害も、川の氾濫もある程度防げる。
さらに山間地の田んぼの保水能力が失われている。条件不利ということで、山間地の棚田のような場所は放棄され荒れ地に戻っている場所が多い。上流部の田んぼの耕作を、保水機能の向上の観点から、奨励するような事も必要なはずだ。
以前土砂災害危険地区のことをここで書いたことがある。それに対して、そんなところに住んでいる人が悪いというコメントがあった。つまり国行政は指定まですればいい。住んではならない場所に住んでいる被害者が悪いという考え方である。このひどいコメントを災害が起こるたびに思い出す。
安全な場所だったところに住んでいたはずだった人が、ある日危険な地域に指定される。安全な場所だっあはずの原発の周辺部が人の住めない場所に変わる。そして、想定外であったということになる。何百年も人が暮らしていた場所で、災害が起きているのだ。
今後強大化する自然災害を考えると、日本で災害に合わない場所などあるとは思えない。直接被害にあわないとしても、通信が途絶して、救急車が呼べないで被害者になるかもしれない。災害が起きた場所に住んでいたやつが悪いで、済ますなば政府などいらない。
しかし、政府の災害対策を批判したところで、一義的には命は自分で守らなければならない。自助、公助、共助と言われるが、命の危険なときにはまずは、自助である。公助や共助が無い前提で準備をしておく方がいい。
住んでいる人の避難という問題がある。明確になってきたのは、危ないところに住んでいる人は、自分で非難する方法を考えるべきだということだ。行政が準備してくれている避難場所は、住民の数の100分の一に満たない。だから、99%の人は公の避難所には逃げないことになっている。
前回も触れたことだが、舟原地区の一時避難所である、フラワーガーデンに行ってみた。レベル5で避難指示が出ている。この状況で鍵がかかっていたのだ。これでは一時避難はできない。つまり、舟原に住んでいるレッドゾーンの人は早めに自分で避難先を見つけておく以外にない。むしろこのことを行政は住民に正直に伝えて置かなければならない。このことを書いたときに、行政の人からのコメントと思われるものがあった。小田原に2000もある一事避難所に行政は関わっていられないというものだった。つまり行政には鍵は開けられないという宣言である。
この前の豪雨ですら、舟原のレッドゾーンに住んでいる人が避難をしなかった。少なくとも避難所では誰にも会わなかった。箱根に1000ミリを超える雨が降っているのだ。幸いのことに雨の中心が、東斜面でなかったというだけの幸運である。もしこの豪雨が東斜面であれば、必ず人的被害が出たはずである。
今まで大丈夫であったのは幸運と考えるべきだ。年々自然災害は強大化している。次は不運にもということになると考えておいた方がいい。その時のためにいまから自分が逃げる場所を自分で探しておくべきだ。安全と思われる知人宅がなければ、一晩ホテルでもいい。
あるいは車を早めに安全な駐車場に止めて、嵐が過ぎるのを待つのもいい。小田原ならば、駅横の市の駐車場なんかよさそうだ。コロナの湯の駐車場でもいい。諏訪の原公園の駐車場も雨だけならいい。安全な場所を日頃から見つけておくべきだ。
千曲川の堤防決壊に国土保全隊が立ち向かうというようなことはできなかったのだろうか。日頃から、国土保全に直接的に対応する組織が必要になっているのでは無いだろうか。水は突然堤防を越えたわけではない。堤防の弱いところから、決壊したのだ。
自然災害にやられるままでいいのか。ただ手をこまねいてみているほかないのか。日頃から、堤防をしっかりさせるということはあるだろうが、水が増えてきたときに、危なくなった弱いところを補強するというような作業はないのだろうか。
自衛隊を国土保全隊にしたらどうだろうか。自衛隊は災害がおきてから、人命救助に協力しているという立場だ。何か善意で協力してくれているように言われる。そうではなく、災害救助を主たる業務にした方がいい。
自衛隊員は25万人いるそうだ。これは戦前の日本軍と同数だという。そのうち兵隊という数は5万人。幹部が5万人。中間管理職相当が15万人。かなりアンバランスと言われている。事務職系統が今の防衛には必要ということとも思われる。現場で活躍できるのは10万人程度しかいないのかもしれない。現代の戦争というものはそういうものかもしれない。
消防署職員数が16万人消防団員の数が90万人。専門職が16万人。非常勤が90万人ということのようだ。この数を見ると消防団員制度というものが、日本の災害対応の中心にある。地域のことを一番熟知している人達である。
ただ消防団員の多くは引き受けざる得ないと考え、地域を守るというボランティア精神で担ってくれている。これから地方が衰退する状況で、都会と同様に専門の消防職員に任せる体制移行せざる得ないのだろう。
地方の防災は今後手薄になっていかざる得ない。消防団員の数は減少を続けている。ここに自衛隊員25万人を役割として充当せざる得ないのではないか。消防団員が非常勤であり、いざという時に駆け付ける非常勤公務員という形である。同様に自衛官はすべから、国土保全隊員として、いざという時に駆け付ける形にする。
政府は災害対応に万全を期すと、力強く宣言をしている。口先だけで無く、具体的に動かなければならない。災害対応はすでに手薄になっている。ボランティア依存である。地方の災害対応能力としての自然環境は年々衰えている。地方の消防団員も手薄になり始めている。
早急に改修すべきという堤防が、改修できないで居るのが現状である。土砂災害危険指定はしても、何も対応できないでいるのが現状である。万全を期す政府は、災害が起こる前にやるべき事をやる政府だ。
強大化する災害対応のためには、自衛隊を国土保全隊に変える必要がある。