2017年の稲作から
そろそろ、2018年の田んぼが始まる。始まる前にもう一度昨年の稲作を思い出しておく。ご飯は毎日頂いているが、充実した安心できる味がする。今年もお米が足りなくなることはなさそうである。神奈川県は反収500キロぐらいだ。小田原はそれよりもすこし低かった。秋の長雨、日照不足が影響していて、一昨年よりは少し多いいが、全国平均より少ないという事らしい。そういえば、2年連続で後半の天候がかなり悪かった。それで倒伏をした所が出た。今年も天候が悪いことを覚悟していなければならないだろう。悪天候の中欠ノ上田んぼは畝取りを達成した。600キロぐらいだから、反収で100キロ多く取れている。自然農法でやっているのだから当然のことだと思っている。稲という植物の最善の環境を作り出そうとしているのだから、収量が多くなるのは作物の原理だ。問題は最善の環境はたやすくは出来ないという事になる。手間がかかる。しかし、手抜きをしてそこそこでいいという気になれないのは、性分である。手抜きをしたくなる気持ちが生まれたらやめようと考えている。だから70歳を定年と考えている。それまでは何があろうと、やり切るつもりだ。
夏の田の草取りほど、苦しい農作業は少ないだろう。除草剤を使わないお米を希望する消費者は一度は体験して欲しいものだ。草があれば必ず減収する。夏に草がないようにするにはどうすれば良いかである。草を抑えられる手を打てるかはすべての自然農法農家の課題であろう。昨年は、そこそこの草の状態であった。今年はさらにそれを磨きたい。夏には苦しむほどの草はなかった。草が減少した原因を考えてみると。1、年々草をとり尽くしてきた。2、土壌が良くなり、トロトロ層が形成されやすくなった。3、コロガシを適期に頻繁に行った。4、初期深水が出来た。5、田植え前1か月のソバカス撒きが功を奏した。6、田植え直後のソバカス撒きも良かった。7、緑肥の直前の漉き込みの効果。8、先手先手の草取り。8、冬稲わらで田面を覆ったこと。様々に行った対策の綜合的効果で草が少しづつ減ってきているのではないか。それらの作業時間の合計と、除草剤を撒く時間と較べれば、経済合理性は明らかに除草剤が優位だ。ただ、稲作が趣味であるとすれば、あるいは伝統的文化であるとするならば、手取り除草の稲作が勝っている。
先日、MOA自然農法の人から、笹村のやり方を普及してはならないと言われた。理解がないことだとがっかりした。手がかかりすぎるという事のようだ。そうであるとしても、自然農法が慣行農法以下の収量で良いはずがない。それを認めてはならない。その自然農法のどこか問題があるからと考えるべきだ。次の課題は倒伏対策である。倒伏すると稲刈りに時間がかかる。しかし、多収の稲を目指すのであれば、わずかな悪天候で倒伏してしまう。倒伏しない稲で畝取りするのが目標である。それが安定的には出来ない。倒伏する場所がある。水が湧いている場所だ。欠ノ上田んぼで言えば、どうすれば水の湧きを減らせるか。水路から田んぼの下に水が回りこんでいる。これをどのように減らすのかである。まずは湧く場所に土を入れて少し高くしなければならない。高くすれば、すぐ水が引く。加えて水管理である。倒れそうな場所をどのように乾かしてゆくか。ここに矛盾があるから、難しいのだが、今年もできる限り挑戦したい。
〇春分の日に海水選をする。水温が以前より上がり、春分の日の浸種では発芽してしまうようになった。そこで、鳩胸に成ったら冷蔵保存をすることにしする。発芽が早まり、揃うはずだ。
〇ドブの匂いが出たら、燻炭を撒いてコロガシをする。
〇穂揃い1か月前の穂肥をソバカスぼかし、場所によっては二見の堆肥を試してみる。
〇干し田のタイミングを慎重に見極め、倒伏を軽減する。