舟原ため池の改修工事

   



 舟原ため池は上下に分かれた池になっている。上の池にはカキツバタが植えてある。下の池は深くなるはずなのだが、水漏れがあって水は今たまらない。先ずは下の池のことより、上の池だけでも水が溜まるようにしたい。

 そこで、中央の土手の埋め込んである3本の太い塩ビ管を1本にすることにした。3本だと塩ビ管の間の土が締まらない。ずいぶん突き棒で叩いたのだが、上手く行かない。そこで、今回は1本にすることにした。それは1本で水の流れは
十分だからだ。

 大水の時排水できない分はどのみち、境の仕切りの上を水は超えるだろう。ため池が満杯になり、川に戻る水路まで水が上がったことが1度だけある。相当の水が来たのだが、上手く川に水が戻るようになっていた。江戸時代の溜池の構造に関心をした。

  舟原ため池水が溜まらないので、雑草がすぐ生える。このあたりはカキツバタが沢山ある。堤防上になっている向こう側には下の池がある。その間の堤に3本の太い塩ビ管がある。これを一度取り除き、一本にする工事をする。

 一本にして、泥にコンクリートを混ぜて埋め戻す。そうすれば多分もれなくなるだろうという想定である。何とか水が溜まらなければ、上の溜池に水が溜まらない。水がなくなれば、草刈りは大変にになるし、カキツバタは枯れてしまう。

 花が枯れてしまえば、いつかこの溜池も誰も管理する人がいなくなり、またごみで埋まってしまうだろう。この小田原でも一番魅力的な場所を長く維持するためには何としても水が溜まるようにしなければならない。



 今回去年から持ち越しの工事を行う事になった。昨年工事を始めたら、近隣の方から工事を止めろという苦情が入った。理由は理解できなかったのだが、みんなのための活動でもめ事は嫌なので、工事を中断した。相変らず状況が改善された訳ではないが、上下の池を繋ぐ工事は実行することになった。

 予定では25日と26日の二日かかるはずだったのだが、何と見事に1日で終了した。そこで2日目は冨田さんの田んぼの水路の入り口と、岡本さんの田んぼの水路の入り口の直しを行う事になった。ともかく水漏れがあちこちから起きている。

 2つの水漏れ工事が終われば、黒柳さんの所の田んぼの穴埋め作業を行う。これも昨年に引き続きの工事で、なかなか完全には治らない。結局のところ、出来る範囲で工事をするほかない。田んぼは手入れだ。手入れを繰り返し維持をしてゆく。

 大型の土木工事で味気ないコンクリートで固めた田んぼにしてしまうのは、つまらない事になる。人間が手作業で手入れをしながら直してゆく、手はかかるが、愛着の湧いてくる田んぼこそ、日本人を作ってきた田んぼだ。

 いつか農業者の稲作が失われる時が来たとしても、自給の為の田んぼだけは残す必要がある。田んぼがいろいろのことを教えてくれるはずだ。農業遺構としての溜池も、江戸時代の初期に久野にこれほどの土木工事をしてまで、田んぼを切り開いた人の思いを残す必要がある。

 人間の暮らしというものがどこに向ってゆくべきかを、溜池とそれに続く田んぼは教えてくれるはずだ。言葉にすれば平和に暮らすという生き方である。人と競争するのではなく、共に助け合う共同の暮らしだ。人間はみんなのために働くときこそ力が育つという事。



 こちらは田んぼへの導水路の破損の修繕である。昨年水漏れがしてどうしようもなかった。田んぼを乾かしたいときに、乾かすことが出来なかった。そこで今年石を剥いで、塩ビ管を入れ替えてからコンクリートで補修する予定。

 あしがら農の会には素晴らしい人がいる。今の時代誰もが暮らしが大変になっている。自分のことだけでも大変に違いないのに、みんなのために、頑張ってくれる人が沢山いるのだ。ため池の改修工事をしたところで、自分の利益になる人など一人としていない。

 だから、溜池はごみで埋まってしまったのだ。そのため池を農業遺構として、何としても残そうという活動が続いている。地域からは喜ばれるどころか、苦情を言われる状態である。それでも、溜池を美しい場所として残せば、未来の人にきっと役立つときが来ると思っている。

 

 ここは溜池の周りの道路が陥没してしまった箇所だ。いつか崩落氏tれしまうと心配していた。コンクリートガラを軽トラ一杯入れて、その上から、土と砂利とを混ぜたものをもう1杯入れた。しばらくそれで様子を見る予定だ。

 状態が落ち付いたらば、そこにコンクリートを打って固め
る予定だ。これで今度の大豆の収穫の時も危険が少し減った。車が大きな空洞になっている上を通るのだから、危険極まりなかった。今回急いで工事が出来てほっとした。


 大きな空洞だった。今回ここまでやる予定ではなかったのだが、溜池の排水管の工事が早く終わったので、一気にここまでやれた。穂田さんの手際の良さにはいつもながら、眼を見張るものがある。これで小田原に来た第一目的は達成したことになる。
 参加者、穂田さん、渡部さん、富田さん夫妻、石井さん、東さん、杉山さん黒柳さん、まごのりさん、笹村

 - 里地里山