石垣島自然農田んぼ見学会資料
石垣島での自然農の田んぼ見学会は30人を越えると思ったが、登録数二三名だそうです。参加者で開催された。コロナ蔓延のなか、気をつけての開催になった。名蔵公民館で一時間ほど話させて貰ったが、以下はその大筋である。田んぼに興味を持ってくれる人がいて、石垣で新しい農の会が生まれることになればと思う。
石垣島自然農田んぼ見学会資料 https://blog.goo.ne.jp/sasamuraailand に掲載
小田原で田んぼを続けている。あしがら農の会で田んぼをやっている。今年耕作する田んぼが「柿の下田んぼ」という4人の仲間の田んぼだ。一反五畝あまりの田んぼである。ことし新しく耕作放棄地を復田したものだ。
作業/日数/参加人数
草刈り 4日 計10名
枯れ木集め 4日 計6名
ユンボ 6日 計24名
トラクター 5日 計10名
水路石組み 3日 計6名
代掻き 3日 計16名
●復田作業日数:25日
●参加延べ人数:72名
復田の作業である。一人で行えば、72日間かかった作業だったと言うことになる。3月から、5月までの間に行ったものである。この田んぼの責任者は東さんというこれから農業をやってみようかという若い人の挑戦である。
トンボで田んぼを均している。
私とあと2人のベテランが協力している。あしがら農の会では新しい田んぼが毎年どこかで始まる。33年前山北町の山中で開墾生活を試みた。3年ほどで食料自給の体制を調えることが出来た。田んぼも山の斜面の杉林を切り開いて、田んぼを作った。二畝あまりの田んぼである。ここで100キロのお米を収穫した。
耕運機で代掻きをしている様子。
あしがら平野の食糧自給を計算してみると、自分のやっている実践を基礎にして、人口と耕作面積を計算してみると、食糧自給ができると言うことが分かった。耕作者がいないから食糧自給が出来ないのだと分かった。
30年前にもこの先農業者は減少し、農地をになうものが居なくなると予測できた。食糧自給は暮らしに最も重要である。特に主食の田んぼがなくなることはあってはならない。農家が経営として無理ならば、市民が自給のための田んぼをやる必要があると考えて活動を始めた。
そこから農の会がうまれ、現在200名くらいの人が「田んぼの会」「大豆の会」「お茶の会」「麦の会」「ジャガイモの会」「タマネギの会」「有機農業塾」と活動を続けている。耕作面積は10ヘクタールくらいである。農業者になった人が20名以上いる。
欠ノ上にある苗代の様子。苗は共同で作っている。
石垣島の水田を考えると。やはり田んぼの耕作放棄地が増えている。サトウキビやパイナップルへの転作が行われている。このまま行くと田んぼが沖縄本島や最近深刻化している与那国島のように田んぼが失われることになりかねないという危機感がある。
石垣島小学校の学校田田植え直後の様子
田んぼは東洋4000年の循環農業である。環境維持能力が大きく、生態系の豊かさを支えるものである。ラムサール条約では宮城県の伊豆沼周辺の田んぼはラムサール条約に含まれている。特に冬期湛水が生物多様性の維持に重要だとされている。
田んぼは生産の場であると同時に、環境調整機能の役割も行う。赤土の流出を沈殿池として防ぐ。大水を防ぎ、地下水の増加に繋がる。多くの生き物を育み、生物の多様性に貢献する。田んぼは生産と自然保護を兼ねた、極めて優秀な農業の場である。
名蔵の冬期湛水の田んぼ
石垣島の田んぼの中には、冬期湛水を実現
している場所がある。もしアンパルに繋がる水田で冬期湛水が行われるのであれば、自然環境の維持には重要な要素になる可能性がある。冬期湛水には環境支払いが行われている地域がある。この補助金を有効に使えば、冬期湛水が増える可能性がある。
している場所がある。もしアンパルに繋がる水田で冬期湛水が行われるのであれば、自然環境の維持には重要な要素になる可能性がある。冬期湛水には環境支払いが行われている地域がある。この補助金を有効に使えば、冬期湛水が増える可能性がある。
石垣島の田んぼの土壌は、乾くと堅くなるために名蔵湾沿いの田んぼでは通年通水を行っている田んぼが多数存在する。この田んぼに飛来している水鳥の数は多い。一般的に田んぼを通年通水すると硬盤が緩んでしまうことが多いなか、石垣島の土は特殊なものと思われる。土壌の性質は石垣島の田んぼのどこでもが同じではない。
ただ、畦が畦塗りを為ないでも水漏れをしない田んぼが多数存在する。これは土壌が特殊である証拠である。粒子が細かく浸透性の少ない、固まりやすい土壌が多いのではないかと思われる。
名蔵の冬期湛水の田んぼ
あしがら農の会での実践では、会費はかかった経費を人数で割る。一万円で120キロのお米の分配が基本である。参加日数は一二回ぐらいである。田植えや稲刈りへのお手伝いさんをすると、2キロのお米がもらえることになっている。
有機農業で耕作を行い。一反当たり10俵を取る畝取りが目標である。達成している田んぼも多い。周辺の農家の田んぼの平均収量は8俵程度であるから、有機農業で二割の増収をしていることになる。
農法はそれぞれが選んでいるが、手植えの田んぼがほとんどである。手植えでは広く出来ないと思われるが、農の会では2ヘクタールあまりを手植えしていることになる。一人の手植えは1日二畝程度である。市民の田んぼは機械植えよりも手植えの方が合理性がある。
技術の要は苗作りで、五葉期二分ゲツの稲を手植えすることが多収に繋がっている。冬期はレンゲを緑肥として栽培をしている。抑草はソバカスを撒き、コロガシを四回行う。
もし、石垣島でも田んぼをやってみたいという人がいるのであれば、協力したいと考えている。