少子化は悪い事なのか

   


 異次元の少子化対策が検討されている。どうせ、効果のないばらまき政策が行われるだけだろう。少子化が異次元だろうが、過去にないほど手厚いものであろうが、効果がないと断言が出来る。たぶん日本人の大方の人がそう考えているのだろう。少子化は人類の生存本能の赤信号の結果起きていることだ。

 同じ異次元の黒田総裁の物価上昇2%は、ウクライナ戦争で実現したような最悪のものであった。何かが原因で少子化が解消されるとすれば、それはウクライナ戦争に匹敵した困ったことが原因するはずだ。さらなる感染症のパンディミックとか。

 本当の少子化対策は日本を幸せの国にすれば良いだけのことである。少子化でも幸せな国であれば良いのだ。日本政府の少子化対策は人口減少が企業の経済に悪いというところから来ているのだから、どうせ日本人を労働力としてしか見られない。これでは少子化は当然の結果である。

 人口が減ると経済規模が小さくなり、日本市場に依存している企業の売り上げが減るということを政府は心配しているにすぎないのだ。労働者人口が減ると社会保険料を払う人が減り、年金も医療も介護も破綻するに違いない。すでに破綻が始まっているとも言える。

 日本の国力が停滞すると、国際的に見て日本人の存在感が薄くなって行く。と考えているのだろうが、そんなことはない。小さくても尊敬される国はいくらでもある。人口が減れば兵力が減ると言うことはある。産めよ増やせよの満蒙開拓など最悪ではないか。どのみち日本の十倍以上の人口の仮想敵国には及びも付かない。
 
 少子化問題ではなく、企業利益の問題であり、社会保障システムの問題であり、日本人のみじめなプライドの問題であり、どうせ及びも付かない覇権争いの問題なのだ。少子化対策ではなく、本質的にはこれらの社会問題を解決することでしか、日本の少子化問題は解決できない。子供の数が少なくても大丈夫な国作りが本質である。

 岸田総理大臣が「人口減少こそ最大の課題」と言っているのは、実は世界の産業の変化に対応できない日本ということになる。日本は新しい産業の創出をうたったアベノミクスの地獄の10年間で、新産業どころか、世界の流れから取り残され続けた10年だったのだ。

 ニューヨーク証券取引所 で日本は買いと叫んだアベだが、日本は売りだったのだ。アベ時代の停滞の結果を見れば明らかなことだ。仕方がなく、政府が株を購入して株価をひたすら維持している。その姿を見て、投資家はまだ大丈夫と及び腰で株を買う。

 経済主体や経済システム、社会制度が機能不全を起こしている。異次元の緩和策などではだめだったのだ。経済主体が自分自身の個別の課題に正面から向き合うことでしか解決しないのだ。それを作り出すには日本人が変わらなくては出来ないことなのだ。 

 「新しい資本主義」の次は「異次元の少子化対策」ということのようだ。岸田文雄首相の頭の中は誇大妄想であって、本当の問題が把握できないらしい。言っている首相自身良く理解できないのだろうし、問題の本質は優秀と言われる官僚にも分からないのだろう。 

 私であれば、この停滞解決は自分に投資することが唯一の方法にみえる。色々投資先を考えると、自分に投資して、出来ることを力の限りするのが一番確実である。つまり社会としては「人的資本」に投資することだ。一人一人が新しい何かを生み出す人間になる。教育投資を異次元に増やすべきだろう。

 2020年で高等教育まで含む公的教育費支出のOECD平均はGDPの4.1%だが、日本は2.8%にすぎない。大学以上の公的教育費支出で、日本はたったの0.45%で、OECD平均0.93%の半分にも満たない。これでは新産業の創出がないのも当然だろう。
 新産業を作り出す人材には、やはり高等教育の充実が必要である。しかも、ノーベル賞を受賞するような、優秀な人材が日本で基礎研究を続けたいと考えるような教育研究環境である。今は大学院を出てしまえば研究が終わらざるえない人が多数存在する。研究所に所属しても臨時雇用である。

 少子化などひとまず置いておいて、日本に残されている力のすべてを教育に回すことだ。日本人であれば、希望者全員が高等教育を無償で受けられる状況を作り出す以外にない。教育を受けたものがそれに相応しい職業に就けるようにもしなければならない。そのことで新産業が日本に生まれる可能性が高まる。

 学問をしたいと考える人材が、就職先がないと言うようなことは、日本の大きな損出になっている。有能な高等教育を受けた人材が、海外に流出している。中国にも大量に就職先を求めて出て行く。これでは日本の開発力が低下してゆくのも当然のことだ。

 先ずはこの教育や研究の環境を改善しないことには少子化対策にはならない。少子化対策とは少ない子供でも何とかなる社会を作り出すことだ。子供を増やす少子化対策ではない。子供の増減に政府が関与する必要などない。政府は国民が幸せに暮らせることだけを考えれば良いのだ。

 労働人口が減っても、消費者が減ったとしても豊かに暮らして行ける国作りはある。まず食糧自給である。食糧自給率が今の倍くらいならなければ話にならない。農業で生活で
きる国になり、食料の不安がない国でなければ、幸せな暮らしは出来ない。

 方向は2つである。一つは大規模の有機農業農家の育成。その技術の確立。これを国を挙げて行う。すでに稲葉方式など大規模有機農家の技術が確立されかかっている。これをさらに改善し、洗練させ、日本各地に適合する技術に育てることだ。

 大規模農地の整備も国は積極的に進めなければならない。同時に、中山間地の条件の悪い農地をどのように整備してゆくかである。自給的に暮らす地域に指定して、都市からの距離が遠いいという不利な条件を、医療、教育、流通、情報、こうしたインフラを政府の責任で整備することだ。

 整備してゆくことも不可能な地域もあるだろう。各県の中から選抜して、中山間地整備地域を特別地域に指定して、集中して整備してゆく。そこでななら、何とか都会生活に近い形で暮らせる、自給農業を中心とした中山間地を国の責任で作る。

 - Peace Cafe